IDEAFUL -ad from the world-

上海在住の広告クリエイターが、嫉妬に値する世界の広告やアイデアを長らく紹介し続けています。(2012年〜)

クリック不要!ドミノピザが開発した、世界一簡単なピザオーダーシステム

  • Company: Domino's Pizza
  • Agency: Crispin Porter + Bogusky
  • Country: USA

 

毎回おもしろオーダーシステムが話題になる、

アメリカのドミノピザ。

 

去年は「Emoji  Ordering」で、

カンヌのチタニウムグランプリを獲得したのが

記憶に新しいですよね。

 

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www.adweek.com

 

そんなドミノピザが、今回はどんな仕掛けを用意したのか?

業界も大注目の新オーダーシステムがこちらです。

 

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その名も「ZERO CLICKS」(クリック不要)。

 

文字通り、このアプリを使えばクリック不要で

ピザが注文できちゃうんだそうです。

 

手順はいたってシンプルです。

事前にアプリをダウンロード後、

マイページにて頼みたいピザの情報をインプットしておくだけ。

 

あとは、頼みたいときに

アプリを立ち上げて、約10秒待つだけで注文完了です。

 

 

なんてかんたんなシステムなのでしょう。

 

ちなみに間違えてアプリを立ち上げちゃっても大丈夫。

10秒以内に閉じれば、注文はされることはありません。

 

「あぁお腹すいてなぁ・・・」って時は、

アプリを立ち上げて

10秒待つだけで、即注文完了。

 

ネット注文の面倒くささを、

極限まで削ぎ落としたこのアプリ。

エイプリルフールの冗談のようにも見えますが、

意外とアリかもしれませんね。 

 

 

フランスでも勃発!マクドナルドvsバーガーキングの熱きマーケティング合戦

  • Company: Burger King
  • Agency: Buzzman Paris
  • Country: France

 

2013年、フランスに再上陸したバーガーキング

しかし、そこには既にマクドナルドという圧倒的王者の存在が。

 

まだまだ店舗の数が限られている同チェーンは、

その劣勢を覆すべく、昨年2月に排水の陣で

なかなか面白いキャンペーンを展開しているようです。

 

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その名も、

「WHOPPER MOVEOUT」(ワッパー引越)!

 

文字通り引越をお手伝いするキャンペーンなのですが、

バーガーキングのお店がある場所まで引越します!と宣言した人に、

無料で荷物を送ってあげるよというもの。

 

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ハンバーガーのために、引越・・・!?

目を疑いそうなキャンペーンなのですが、

それを本気でやっちゃうところが、さすがはバーガーキングですよね。

 

前代未聞すぎるこのキャンペーンはFacebookで応募を受け付け、

見事、最も遠い距離を引っ越したユーザーが勝利を獲得し、

無料で引越を行えたのだとか。

きっと国内のメディアにも多数取り上げられ、話題を博したことでしょう。

 

 

さて、お次はマクドナルドです。

このバーガーキングの施策を受けて、マクドナルドが反撃に出ました。

 

  • Company: McDonald's
  • Agency: TBWA/Paris
  • Country: France

 

代理店はTBWA。 

フランス全土に多数のドライブスルーを抱えるマクドナルド。

一方、店舗数に引けを取るバーガーキング

マクドナルドは、競合と比べて地の利を生かした

利便性の高さを伝えるべく、あるユニークな屋外看板を立てたのでした。

 

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それがこれです。

 

左側にある、とてもシンプルな看板がマクドナルド。

右側にある、縦に長く積まれた看板がバーガーキングです。

 

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マクドナルドはまっすぐ5km行くだけ。

一方、バーガーキングは・・・とても複雑な標識になっており、

その道のりは258km。目的地がめちゃくちゃ遠いです。

 

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不思議そうに看板を見つめるドライバー。

そうなりますよね。笑

 

もう意味は、お分かりですよね?

 

国内あらゆる場所に店舗を構えるマクドナルドと、

まだ店舗数が乏しく、不便なバーガーキング

それを揶揄する、いたずら心にあふれたOOHなのでした。

 

これで一段落・・・と思いきや。

実はこの応酬、まだ続きがあるんです。

 

バーガーキングが、マクドナルドのいたずら看板を受けて、

公開されたCMの抜粋がこちら。

 

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看板を見て、近くのマクドナルドのドライブスルーに入ってきた一台の車。

 

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車に乗車していた

カップルが頼んだのは、1杯のコーヒーだけ。

その理由がとても秀逸なんです。

 

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「私たちは、長距離移動しないといけないんです。」

 

なんという皮肉でしょう。

ドライバーの男性は、遠方のバーガーキングに行くために、

近場のマクドナルドで眠気覚ましのコーヒーを買ったという訳ですね。

 

そして最後にはイヤらしいぐらいに

すかしたコピーがインサートされています。 

 

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「ありがとう。マクドナルド。

(国中)どこにでもあってくれて。」

 

してやられたぁ・・・って気持ちになりますよね。

少なくとも僕がマクドナルドの担当者なら、

ハンカチをキィーって噛んでしまうぐらい

お見事なカウンターだと思います。

 

 

本場アメリカでのバーガーチェーン抗争はとっても有名ですが、

フランスでもこんな戦いが行われているとは。

 

プロレスじゃないですけど、

ファンはきっとこの戦いを微笑ましく見ていると思うんですよね。

もはや伝統芸というか・・・

 

比較広告に寛容ではない日本では、

この手のものを見るのがなかなか難しいのですが、

これぐらい茶目っ気のある広告があってもいいのになぁと。

 

引き続き、この2社の動向をウォッチしていこうと思います。 

 

都会のクルマじゃつまらない?Jeepがクルマをわざと汚すための”土”缶詰を開発

  • Company: FIAT CHRYSLER AUTOMOBILES
  • Agency: Parasol Island
  • Country: Germany

 

今年75周年を迎えた、言わずと知れた世界のオフロード車ブランド、Jeep。

 

「自由と冒険の75周年」と銘打つアニバーサリーキャンペーン名からも

分かるように、Jeepは常に旅・冒険・自由・好奇心といった

非常にアグレッシブなキーワードのもとで、ブランディングを重ねて来ました。

 

そんなJeepが75周年記念の一環で、

ドイツ作った”とある缶詰”がとても面白いのでご紹介したいと思います。

 

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その名も、「MUD MASK」!(土のマスク)です。

 

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ん?クルマの会社が化粧品出したの?

という感じで、ちょっと混乱をきたしてしまいそうですが、

この土のマスク。マスクはマスクでも

人ではなく”クルマ(Jeep)”のためのマスクなのです。

 

土をJeepに塗り付けて、都会のキレイなJeepを

Jeepらしく汚しちゃえっていう何とも遊び心に溢れてますよね。

 

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これを開発したJeepのブランド担当はこう語っています。

 

「この缶には、本物の冒険者たちが都会で失ったものを詰め込んだ。

100%天然土でできており、退屈な日常から脱出を量りたいと思っている人や、

新しい冒険を求めている人の欲望をカタチにしている。」

 

なんともJeepらしい、男の子心をくすぐる

素敵な理由だと思いやしませんか?

 

 ちなみにこれは販売されておらず、

75周年にあわせて75缶だけプレゼントされるみたいです。

興味のある方は、www.jeep.deでキャンペーンに参加してね、

ということです。※ドイツ語限定です。

 

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うーん、何度見ても無駄にクオリティーが高いです。

男の子が好きそうですよね。 

 

単なる物珍しいキャンペーンに終始せず、

ブランドのメッセージを同時に訴求できている点が素晴らしいです。

PR性もありますし、現地でも話題になったんじゃないかなと思います。

 

アムステルダム市民と観光客をつないだ、たったひとつの黄色いイス

  • Company: Yellow Bike
  • Agency: Wilmar and Matthijs
  • Country: Amsterdam, Netherlands

 

今時の若い観光客たちは、

いわゆる”観光客らしい予定調和な旅行”を求めていません。

いかに”現地の人”になりきって、その土地土地の暮らしを疑似体験できるか。

それが旅行の魅力を決める大きな決め手になっています。

 

アムステルダムを訪れる観光客たちもご多分に漏れず、

そのような思考を持つ人たちが多いらしいです。

 

そして、現地の人になりきるアイテムと言えば、”自転車”ですよね。

日本でも外国人観光客が自転車に乗る姿、よく見かけます。

 

ところが、そこにはあるひとつの問題があったようです。

 

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見ての通り、既に街には市民たちの自転車が飽和しており、

観光客用に自転車を貸すことすら、社会的に反感を買うような状況のようです。

ましてや街のことをよく知らない観光客が運転するとなると

事故の元だったりもしますし、このような状況に街も困り果てていました。

 

そこで名乗りを上げたのが、

アムステルダムでレンタル自転車サービスを展開するYellow Bikeです。

彼らはそんな街や観光客のニーズを汲み取り、

あるひとつのアイデアを考え、実行したのでした。

 

その名も、「Yellow Backie」

 

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市民の自転車の荷台を、黄色いイスに無償で差し替えるという

いたってシンプルな試みでした。

 

これいったい何の意味があるの?と思われると思うのですが、

アムステルダムでは自転車の荷台に友達を乗せる習慣があり、

それをYellow Backieと呼ぶのだそうです。

 

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まさにこんな感じで。

 

その習慣を大々的に告知し、街を行き交う自転車を、

観光客にとってのタクシーに変えてしまったというわけですね。

 

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街で手を挙げれば、自転車にヒッチハイクができる。

そうすることで、街の自転車の数は不用意に増やす必要も無くなりました。

観光客は荷台に乗って、文字通り市民目線で街を楽しむ事ができます。

 

また、市民と観光客がこの黄色いイスをきっかけに仲良くなり、

国と国をつなぐ、友好の象徴にもなったようです。

 

まさに一挙両得なこのアイデア

ふたつの課題をひとつのソリューションで解決する。

誰も損する人がいない、実に素晴らしいアイデアだと思いました。

 

ぜひビデオもご覧になってみてください。

 

 

切手の代わりに、キスを贈ろう。オランダのバレンタインに手紙を増大させた、ロマンチックなアイデア

  • Company: PostNl
  • Agency: Joe Public
  • Country: Netherlands

 

どこに国もデジタル世代の”手紙離れ”が、深刻な問題のようです。

 

オランダの郵便局であるPostNlがバレンタインに行った、

若者向けのコミュニケーションがとても秀逸でしたのでご紹介します。

 

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課題は、「メール世代のターゲットたちと、手紙を使ってどうReconnectできるか」

リアルな手紙って、書くのも面倒ですけど、

何より切手を買って貼るのが一番面倒だったりします。

 

そんなインサイトを見透かすようにして、考えられたのがこちら。

 

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なんと、切手欄にキスマークを押させ、

それを切手代わりにしてしまおうという、超斬新なアイデア

 

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面白半分な人も多数いると思いますが、

わずか10,000ユーロの低予算ながら、

多数メディアに取り上げられたのはもちろん、

昨対比283%という圧倒的な結果となって表れました。

 

ちなみに切手をつけて応募した人も、40%upしたそうです。

こちらの施策に引っ張られてスコアが上がったとしたら素晴らしいですよね。

 

手紙を送る、気持ちを送るという本質的価値をさらに高めつつ、

切手無しで送れるというハードルを下げたところ。

この2点の両立が企画としてミソなのかなと思ったりします。

 

やはり効果効能だけでなく、そのアイデアの持つ、佇まいやトーン。

結局人が魅力を感じられるか否かは、理屈じゃなかったりする。

そんなところまで計算して、企画してみたいものです。

 

 

いかなる用途にもお答えする、デンマークのレンタカーサービスのCMが面白すぎる

  • Company: Lej Et Lig
  • Agency: T Reklame, Hellerup
  • Country: Denmark

 

今更ですがあけましておめでとうございます。

忙しさにかまけて久々の更新です・・・

 

今年も世界のすばらしいアイデア

皆さんと共有していきたいと思います。

 

新年一発目は、シンプルに笑える

デンマークのレンタカー会社のCMをご紹介します。

国で一番リーズナブルと言われる

レンタカーサービス「Lej Et Lig」。

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この会社は、

”いかなる用途のお客様にもがっかりさせない”を

モットーとしています。

ということは、”どんな使い方だって許される”。

 

そんな裏返しの表現で、「おいおいそりゃまずいだろ」という

使い方を提案する、2本のCMを制作しました。

 

 

まず1本目がコチラ。

 

 

なにやらシリアスな表情のおじさん。

ん・・・?

どう見ても除染作業かなんかし終わった後のような感じ。

そしてまじめな顔して鍵を返却。

 

続いて2本目。

 

 

今度は窃盗団!?

強盗するときも使ってね、なんていうメッセージが言いたいわけじゃないのは

百も承知ですが、お客様のいかなる利用にもがっかりさせない、

そんなレンタカーサービスの、意地を感じるCMなのでした。

 

日本だとクレームを気にしてまず絶対放送できないと思うのですが、

最終的に笑えるんだからええやないの、と思ったりもします。

 

というわけで、今年も宜しくお願いします。

 

マクドナルドはチキン(臆病者)!? 米バーガーキングによる過激な休戦協定プロモーション

  • Company: Burger King
  • Agency: Unknown
  • Country: USA

 

独特のプロモーションに定評がある、

バーガーキングが9/21の国際平和デーに向けて仕掛けた

プロモーションが話題になっています。

 

8/26にバーガーキングが、

自身のYouTubeチャンネルにUPしたこの動画は、

同社最大のライバル、マクドナルドに向けたものでした。

 

 

その内容は、国際平和デーを機に、

ハンバーガー戦争をもう終わりにしませんか?というメッセージ、

両社のコラボ商品として

「McWhopper」を作らないかと

具体的な提案を持ちかけたのでした。

 

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「マック」と「ワッパー」という言葉は、両社のアイコンのようなもの。

お互い歩み寄って、最高のコラボバーガーを作ろうという

ライバル企業同士の前代未聞の提案。それは詳細まで練られていました。

 

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コラボ店舗の所在地は、

両社の本社の中間をとったアトランタ

 

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パッケージはお互いのカラーをはんぶんこした、こんな感じ。

 

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ユニフォームも同様です。

 

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さぁ、バーガー戦争を終わらせよう!

鼻息荒く提案を持ちかけたバーガーキング

気になるのは、その反応ですよね。

 

マクドナルドがこの提案を受けて、

どのような反応を示したかというと・・・

 

その答えは・・・

残念ながら「No」でした。

 

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マックCEOのSteve氏から届いた返事を要約すると次の通り。

 

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素晴らしいアイデアをありがとう。 

もっと大きな規模で、世界に変化を起こしませんか?

今ある友好的な競争は、

決して戦争の痛みや苦しみとイコールではありませんよ。

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やんわりと、遠回しに断っているのが分かると思います。

 

うーん、なんとも不完全燃焼な結末なのですが、

実はこの両社のやりとりを見た、

全くの第三者からバーガーキングに向けて

オファーが相次いでいるようです。

 

 

Denny's

 「やぁバーガーキング、私とワッパーつくらないか?」

 

 

Giraffas

「マックがチキンになっているなら、

私とブラジリアンスタイルのワッパーをつくろうよ」

 

 

Krystal

「私たちには提案がある。受け止めてくれませんか?」

 

さすがアメリカ、とも言うべきでしょうか。

数々の有名飲食チェーンが次々と名乗りを上げてきました。

 

それに対してバーガーキングも次のようにTweetしています。

 

Burger King

「私たちは、会議の場を設ける必要がありそうですね。」

 

なんともやる気満々なバーガーキング

この行く末は一体どうなるのでしょうか?

また日を待って、ご報告したいと思います。

 

どこまでが本当にバーガーキング

意図したものなのか分かりかねますが、

ソーシャルメディアのライブ感を駆使し、

非常にうまくコミュニケーションをしていると思います。

 

大企業になればなるほど難しい、ソーシャルメディアの活用方法。

事の発端者となっているバーガーキングもさることながら、

それに後追いしたDenny'sなどの各社の英断には

「あっぱれ」という感じがします。

 

縦割りが厳しく、何をするにも承認を得る必要のある

日本企業にとっては、このようなチャンスにも

二の足を踏むことが多くなりがちでしょう。

 

アメリカのソーシャルメディアで繰り広げられている

生きたコミュニケーションからは、

多いに学ぶことがあるのではないでしょうか。