走った分だけ食べられる、プラマイゼロな”おいしいランニング”キャンペーン
- Company: Kalengi
- Agency: Rosapark
- Country: France
分かっちゃいるけど始められない、続かない。
それがランニングではないでしょうか。
シューズブランド「Kalengi」はパリで、
ランナーをモチベーションを高める、
”おいしいランニングキャンペーン”を行いました。
新作のシューズをプロモーションすべく、
上記のようなボックスをメディアの記者に配布。
(※これ、結構ポイントですね)
箱の裏には、なにやらレストランのメニューのようなものが書かれています。
こんな感じ。
走った分だけ、お好きなメニューを選べるようです。
例えば「いちごのデザート」を食べるには、
6.1kmも走らないとダメなようです。笑
アプリを使って走行距離は計測され、
5.24、パリの一角にある有名レストランに出向き、
アプリの画面を提示することを交換条件に、
食事が楽しめるという仕組みです。
"Don't live to run. Run to live."
走るために生きるな。生きるために走ろう。
ランニングを、ただのストイックで
無機質な行為として考えるのではなく、喜びを感じられるものに変えたい。
そんなブランドメッセージを伝えてくれる、
とても楽しく、夢のあるキャンペーンだと思いました。
コンセプトビデオが非常によくできているので、
ぜひあわせてチェックしてみてください。
あぁ、ランニングしようかな・・・
書き入れ時に全店休業!?米アウトドアブランドによる、社運を賭けた一か八かの一大キャンペーン
- Company: REI
- Agency: Venables Bell & Partners
- Country: USA
ONE SHOWのBest of Show(最高賞)を受賞した、
米国のアウトドアショップREIの事例をご紹介します。
ブラック・フライデーという年末商戦初日の存在は、
世界中で知られていますが、そんなまさに書き入れ時に
REIは全国の143店舗、すべてのショップを休業。
さらに全従業員約12,000人に休みを与えることにしました。
オンラインショップまでもストップさせるという徹底っぷりです。
その時に流されたCMがこちら。
OPT OUTSIDE
「ブラック・フライデーには
買い物をせず、外に出よう。」
ここで言う”外”というのは、
ショッピングセンターを指しているのではありません。
山や川、海などの自然に触れる事を推奨しています。
ブラック・フライデーは本来「感謝祭」と呼ばれ、
家族で休日を楽しむことを目的とした日でしたが、
年末商戦の初日としてセールの始まりの日になることが多く、
米国では、こぞって買い物にいくことが慣例化していました。
しかし、アウトドアショップのREIは、
自然で時間を過ごすことの大切さを訴え、
ビジネスチャンスを棒に振ってでも、
全店舗を休業させることを優先したのです。
まさに、ブランドフィロソフィーを体現した
勇気あるアクションと言えるでしょう。
その結果…
SNS上のメンション数は、70倍に。
僅か24時間で27億impを獲得するに至りました。
さらに、150の企業が
REIに追随してビジネスをストップ。
数百を超える州立公園が、公園を無料開放する動きにまで発展しました。
約140万人が実際に、
アウトドアで時間を過ごしたようです。
#OPTOUTSIDEは未だに活用されており、
今年も同様のキャンペーンを行うみたいです。
企業のアイデンティティーに即したやり方で意表を突き、
最終的に社会的ムーブメントまで仕立て上げたこの仕事。
アイデアもさることながら、しっかり結果にまで
結びついている点が非常にすばらしいなと思いました。
他社まで巻き込む、スキームの太さ・強さも評価に値しますよね。
1滴だけで十分!超強力な効果をアピールする、小さすぎる洗剤ボトル
- Company: Pril
- Agency: TBWA\RAAD
- Country: USA
UAEの洗剤メーカーPrilが行ったコミュニケーションが、
痛快なほど明快かつユニークなので、ご紹介します。
1滴たらすだけで、
お皿があっという間にキレイになる強力洗剤「Pril」。
それを伝えるべく開発されたのが・・・
このミニチュアボトルです。
なんとわずか一滴しか入ってません。
驚きの洗浄力を、レモン成分によって
生み出したようなのですが、詳細は不明です。
こんなキットにして、
スーパーマーケットで実際にサンプリングされたんだとか。
もらったら思わずシェアしちゃいますよね。
競合との差別化が厳しいであろう洗剤業界。
そんな中で、なんとも明快かつ、シャレの効いた1滴入りボトル。
消費者の好意度upにもつながりそうですし、PR性もありそうなので、
非常に効果的だったんではないでしょうか。
クリック不要!ドミノピザが開発した、世界一簡単なピザオーダーシステム
- Company: Domino's Pizza
- Agency: Crispin Porter + Bogusky
- Country: USA
毎回おもしろオーダーシステムが話題になる、
アメリカのドミノピザ。
去年は「Emoji Ordering」で、
カンヌのチタニウムグランプリを獲得したのが
記憶に新しいですよね。
そんなドミノピザが、今回はどんな仕掛けを用意したのか?
業界も大注目の新オーダーシステムがこちらです。
その名も「ZERO CLICKS」(クリック不要)。
文字通り、このアプリを使えばクリック不要で
ピザが注文できちゃうんだそうです。
手順はいたってシンプルです。
事前にアプリをダウンロード後、
マイページにて頼みたいピザの情報をインプットしておくだけ。
あとは、頼みたいときに
アプリを立ち上げて、約10秒待つだけで注文完了です。
なんてかんたんなシステムなのでしょう。
ちなみに間違えてアプリを立ち上げちゃっても大丈夫。
10秒以内に閉じれば、注文はされることはありません。
「あぁお腹すいてなぁ・・・」って時は、
アプリを立ち上げて
10秒待つだけで、即注文完了。
ネット注文の面倒くささを、
極限まで削ぎ落としたこのアプリ。
エイプリルフールの冗談のようにも見えますが、
意外とアリかもしれませんね。
フランスでも勃発!マクドナルドvsバーガーキングの熱きマーケティング合戦
- Company: Burger King
- Agency: Buzzman Paris
- Country: France
2013年、フランスに再上陸したバーガーキング。
しかし、そこには既にマクドナルドという圧倒的王者の存在が。
まだまだ店舗の数が限られている同チェーンは、
その劣勢を覆すべく、昨年2月に排水の陣で
なかなか面白いキャンペーンを展開しているようです。
その名も、
「WHOPPER MOVEOUT」(ワッパー引越)!
文字通り引越をお手伝いするキャンペーンなのですが、
バーガーキングのお店がある場所まで引越します!と宣言した人に、
無料で荷物を送ってあげるよというもの。
ハンバーガーのために、引越・・・!?
目を疑いそうなキャンペーンなのですが、
それを本気でやっちゃうところが、さすがはバーガーキングですよね。
前代未聞すぎるこのキャンペーンはFacebookで応募を受け付け、
見事、最も遠い距離を引っ越したユーザーが勝利を獲得し、
無料で引越を行えたのだとか。
きっと国内のメディアにも多数取り上げられ、話題を博したことでしょう。
さて、お次はマクドナルドです。
このバーガーキングの施策を受けて、マクドナルドが反撃に出ました。
- Company: McDonald's
- Agency: TBWA/Paris
- Country: France
代理店はTBWA。
フランス全土に多数のドライブスルーを抱えるマクドナルド。
一方、店舗数に引けを取るバーガーキング。
マクドナルドは、競合と比べて地の利を生かした
利便性の高さを伝えるべく、あるユニークな屋外看板を立てたのでした。
それがこれです。
左側にある、とてもシンプルな看板がマクドナルド。
右側にある、縦に長く積まれた看板がバーガーキングです。
マクドナルドはまっすぐ5km行くだけ。
一方、バーガーキングは・・・とても複雑な標識になっており、
その道のりは258km。目的地がめちゃくちゃ遠いです。
不思議そうに看板を見つめるドライバー。
そうなりますよね。笑
もう意味は、お分かりですよね?
国内あらゆる場所に店舗を構えるマクドナルドと、
まだ店舗数が乏しく、不便なバーガーキング。
それを揶揄する、いたずら心にあふれたOOHなのでした。
これで一段落・・・と思いきや。
実はこの応酬、まだ続きがあるんです。
公開されたCMの抜粋がこちら。
看板を見て、近くのマクドナルドのドライブスルーに入ってきた一台の車。
車に乗車していた
カップルが頼んだのは、1杯のコーヒーだけ。
その理由がとても秀逸なんです。
「私たちは、長距離移動しないといけないんです。」
なんという皮肉でしょう。
ドライバーの男性は、遠方のバーガーキングに行くために、
近場のマクドナルドで眠気覚ましのコーヒーを買ったという訳ですね。
そして最後にはイヤらしいぐらいに
すかしたコピーがインサートされています。
「ありがとう。マクドナルド。
(国中)どこにでもあってくれて。」
してやられたぁ・・・って気持ちになりますよね。
少なくとも僕がマクドナルドの担当者なら、
ハンカチをキィーって噛んでしまうぐらい
お見事なカウンターだと思います。
本場アメリカでのバーガーチェーン抗争はとっても有名ですが、
フランスでもこんな戦いが行われているとは。
プロレスじゃないですけど、
ファンはきっとこの戦いを微笑ましく見ていると思うんですよね。
もはや伝統芸というか・・・
比較広告に寛容ではない日本では、
この手のものを見るのがなかなか難しいのですが、
これぐらい茶目っ気のある広告があってもいいのになぁと。
引き続き、この2社の動向をウォッチしていこうと思います。
都会のクルマじゃつまらない?Jeepがクルマをわざと汚すための”土”缶詰を開発
- Company: FIAT CHRYSLER AUTOMOBILES
- Agency: Parasol Island
- Country: Germany
今年75周年を迎えた、言わずと知れた世界のオフロード車ブランド、Jeep。
「自由と冒険の75周年」と銘打つアニバーサリーキャンペーン名からも
分かるように、Jeepは常に旅・冒険・自由・好奇心といった
非常にアグレッシブなキーワードのもとで、ブランディングを重ねて来ました。
そんなJeepが75周年記念の一環で、
ドイツ作った”とある缶詰”がとても面白いのでご紹介したいと思います。
その名も、「MUD MASK」!(土のマスク)です。
ん?クルマの会社が化粧品出したの?
という感じで、ちょっと混乱をきたしてしまいそうですが、
この土のマスク。マスクはマスクでも
人ではなく”クルマ(Jeep)”のためのマスクなのです。
土をJeepに塗り付けて、都会のキレイなJeepを
Jeepらしく汚しちゃえっていう何とも遊び心に溢れてますよね。
これを開発したJeepのブランド担当はこう語っています。
「この缶には、本物の冒険者たちが都会で失ったものを詰め込んだ。
100%天然土でできており、退屈な日常から脱出を量りたいと思っている人や、
新しい冒険を求めている人の欲望をカタチにしている。」
なんともJeepらしい、男の子心をくすぐる
素敵な理由だと思いやしませんか?
ちなみにこれは販売されておらず、
75周年にあわせて75缶だけプレゼントされるみたいです。
興味のある方は、www.jeep.deでキャンペーンに参加してね、
ということです。※ドイツ語限定です。
うーん、何度見ても無駄にクオリティーが高いです。
男の子が好きそうですよね。
単なる物珍しいキャンペーンに終始せず、
ブランドのメッセージを同時に訴求できている点が素晴らしいです。
PR性もありますし、現地でも話題になったんじゃないかなと思います。
アムステルダム市民と観光客をつないだ、たったひとつの黄色いイス
- Company: Yellow Bike
- Agency: Wilmar and Matthijs
- Country: Amsterdam, Netherlands
今時の若い観光客たちは、
いわゆる”観光客らしい予定調和な旅行”を求めていません。
いかに”現地の人”になりきって、その土地土地の暮らしを疑似体験できるか。
それが旅行の魅力を決める大きな決め手になっています。
アムステルダムを訪れる観光客たちもご多分に漏れず、
そのような思考を持つ人たちが多いらしいです。
そして、現地の人になりきるアイテムと言えば、”自転車”ですよね。
日本でも外国人観光客が自転車に乗る姿、よく見かけます。
ところが、そこにはあるひとつの問題があったようです。
見ての通り、既に街には市民たちの自転車が飽和しており、
観光客用に自転車を貸すことすら、社会的に反感を買うような状況のようです。
ましてや街のことをよく知らない観光客が運転するとなると
事故の元だったりもしますし、このような状況に街も困り果てていました。
そこで名乗りを上げたのが、
アムステルダムでレンタル自転車サービスを展開するYellow Bikeです。
彼らはそんな街や観光客のニーズを汲み取り、
あるひとつのアイデアを考え、実行したのでした。
その名も、「Yellow Backie」。
市民の自転車の荷台を、黄色いイスに無償で差し替えるという
いたってシンプルな試みでした。
これいったい何の意味があるの?と思われると思うのですが、
アムステルダムでは自転車の荷台に友達を乗せる習慣があり、
それをYellow Backieと呼ぶのだそうです。
まさにこんな感じで。
その習慣を大々的に告知し、街を行き交う自転車を、
観光客にとってのタクシーに変えてしまったというわけですね。
街で手を挙げれば、自転車にヒッチハイクができる。
そうすることで、街の自転車の数は不用意に増やす必要も無くなりました。
観光客は荷台に乗って、文字通り市民目線で街を楽しむ事ができます。
また、市民と観光客がこの黄色いイスをきっかけに仲良くなり、
国と国をつなぐ、友好の象徴にもなったようです。
まさに一挙両得なこのアイデア。
ふたつの課題をひとつのソリューションで解決する。
誰も損する人がいない、実に素晴らしいアイデアだと思いました。
ぜひビデオもご覧になってみてください。