IDEAFUL -ad from the world-

上海在住の広告クリエイターが、嫉妬に値する世界の広告やアイデアを長らく紹介し続けています。(2012年〜)

走った分だけ食べられる、プラマイゼロな”おいしいランニング”キャンペーン

  • Company: Kalengi
  • Agency: Rosapark
  • Country: France

 

分かっちゃいるけど始められない、続かない。 

それがランニングではないでしょうか。

 

シューズブランド「Kalengi」はパリで、

ランナーをモチベーションを高める、

”おいしいランニングキャンペーン”を行いました。

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新作のシューズをプロモーションすべく、

上記のようなボックスをメディアの記者に配布。

(※これ、結構ポイントですね)

 

箱の裏には、なにやらレストランのメニューのようなものが書かれています。

 

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こんな感じ。

 

走った分だけ、お好きなメニューを選べるようです。

例えば「いちごのデザート」を食べるには、

6.1kmも走らないとダメなようです。笑

 

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アプリを使って走行距離は計測され、

5.24、パリの一角にある有名レストランに出向き、

アプリの画面を提示することを交換条件に、

食事が楽しめるという仕組みです。

 

"Don't live to run. Run to live." 

走るために生きるな。生きるために走ろう。

 

ランニングを、ただのストイックで

無機質な行為として考えるのではなく、喜びを感じられるものに変えたい。

そんなブランドメッセージを伝えてくれる、

とても楽しく、夢のあるキャンペーンだと思いました。

 

コンセプトビデオが非常によくできているので、

ぜひあわせてチェックしてみてください。

 

 

あぁ、ランニングしようかな・・・

 

書き入れ時に全店休業!?米アウトドアブランドによる、社運を賭けた一か八かの一大キャンペーン

  • Company: REI
  • Agency: Venables Bell & Partners
  • Country: USA

 

ONE SHOWのBest of Show(最高賞)を受賞した、

米国のアウトドアショップREIの事例をご紹介します。

 

ブラック・フライデーという年末商戦初日の存在は、

世界中で知られていますが、そんなまさに書き入れ時に

REIは全国の143店舗、すべてのショップを休業。

さらに全従業員約12,000人に休みを与えることにしました

オンラインショップまでもストップさせるという徹底っぷりです。

 

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その時に流されたCMがこちら。

 

 

OPT OUTSIDE

「ブラック・フライデーには

買い物をせず、外に出よう。」

 

ここで言う”外”というのは、

ショッピングセンターを指しているのではありません。

山や川、海などの自然に触れる事を推奨しています。

 

ブラック・フライデーは本来「感謝祭」と呼ばれ、

家族で休日を楽しむことを目的とした日でしたが、

年末商戦の初日としてセールの始まりの日になることが多く、

米国では、こぞって買い物にいくことが慣例化していました。

 

しかし、アウトドアショップのREIは、

自然で時間を過ごすことの大切さを訴え、

ビジネスチャンスを棒に振ってでも、

全店舗を休業させることを優先したのです。

 

まさに、ブランドフィロソフィーを体現した

勇気あるアクションと言えるでしょう。

 

その結果…

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SNS上のメンション数は、70倍に。

僅か24時間で27億impを獲得するに至りました。

 

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 さらに、150の企業が

REIに追随してビジネスをストップ。

数百を超える州立公園が、公園を無料開放する動きにまで発展しました。

 

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約140万人が実際に、

アウトドアで時間を過ごしたようです。

 

#OPTOUTSIDEは未だに活用されており、

今年も同様のキャンペーンを行うみたいです。

 

企業のアイデンティティーに即したやり方で意表を突き、

最終的に社会的ムーブメントまで仕立て上げたこの仕事。

 

イデアもさることながら、しっかり結果にまで

結びついている点が非常にすばらしいなと思いました。

他社まで巻き込む、スキームの太さ・強さも評価に値しますよね。

 

 

1滴だけで十分!超強力な効果をアピールする、小さすぎる洗剤ボトル

  • Company: Pril
  • Agency: TBWA\RAAD
  • Country: USA

 

UAEの洗剤メーカーPrilが行ったコミュニケーションが、

痛快なほど明快かつユニークなので、ご紹介します。

 

1滴たらすだけで、

お皿があっという間にキレイになる強力洗剤「Pril」。

 

それを伝えるべく開発されたのが・・・f:id:onaken:20160503160637j:plain

このミニチュアボトルです。

なんとわずか一滴しか入ってません。

 

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驚きの洗浄力を、レモン成分によって

生み出したようなのですが、詳細は不明です。

 

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こんなキットにして、

スーパーマーケットで実際にサンプリングされたんだとか。

もらったら思わずシェアしちゃいますよね。

 

競合との差別化が厳しいであろう洗剤業界。

そんな中で、なんとも明快かつ、シャレの効いた1滴入りボトル。

消費者の好意度upにもつながりそうですし、PR性もありそうなので、

非常に効果的だったんではないでしょうか。

 

 

クリック不要!ドミノピザが開発した、世界一簡単なピザオーダーシステム

  • Company: Domino's Pizza
  • Agency: Crispin Porter + Bogusky
  • Country: USA

 

毎回おもしろオーダーシステムが話題になる、

アメリカのドミノピザ。

 

去年は「Emoji  Ordering」で、

カンヌのチタニウムグランプリを獲得したのが

記憶に新しいですよね。

 

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www.adweek.com

 

そんなドミノピザが、今回はどんな仕掛けを用意したのか?

業界も大注目の新オーダーシステムがこちらです。

 

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その名も「ZERO CLICKS」(クリック不要)。

 

文字通り、このアプリを使えばクリック不要で

ピザが注文できちゃうんだそうです。

 

手順はいたってシンプルです。

事前にアプリをダウンロード後、

マイページにて頼みたいピザの情報をインプットしておくだけ。

 

あとは、頼みたいときに

アプリを立ち上げて、約10秒待つだけで注文完了です。

 

 

なんてかんたんなシステムなのでしょう。

 

ちなみに間違えてアプリを立ち上げちゃっても大丈夫。

10秒以内に閉じれば、注文はされることはありません。

 

「あぁお腹すいてなぁ・・・」って時は、

アプリを立ち上げて

10秒待つだけで、即注文完了。

 

ネット注文の面倒くささを、

極限まで削ぎ落としたこのアプリ。

エイプリルフールの冗談のようにも見えますが、

意外とアリかもしれませんね。 

 

 

フランスでも勃発!マクドナルドvsバーガーキングの熱きマーケティング合戦

  • Company: Burger King
  • Agency: Buzzman Paris
  • Country: France

 

2013年、フランスに再上陸したバーガーキング

しかし、そこには既にマクドナルドという圧倒的王者の存在が。

 

まだまだ店舗の数が限られている同チェーンは、

その劣勢を覆すべく、昨年2月に排水の陣で

なかなか面白いキャンペーンを展開しているようです。

 

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その名も、

「WHOPPER MOVEOUT」(ワッパー引越)!

 

文字通り引越をお手伝いするキャンペーンなのですが、

バーガーキングのお店がある場所まで引越します!と宣言した人に、

無料で荷物を送ってあげるよというもの。

 

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ハンバーガーのために、引越・・・!?

目を疑いそうなキャンペーンなのですが、

それを本気でやっちゃうところが、さすがはバーガーキングですよね。

 

前代未聞すぎるこのキャンペーンはFacebookで応募を受け付け、

見事、最も遠い距離を引っ越したユーザーが勝利を獲得し、

無料で引越を行えたのだとか。

きっと国内のメディアにも多数取り上げられ、話題を博したことでしょう。

 

 

さて、お次はマクドナルドです。

このバーガーキングの施策を受けて、マクドナルドが反撃に出ました。

 

  • Company: McDonald's
  • Agency: TBWA/Paris
  • Country: France

 

代理店はTBWA。 

フランス全土に多数のドライブスルーを抱えるマクドナルド。

一方、店舗数に引けを取るバーガーキング

マクドナルドは、競合と比べて地の利を生かした

利便性の高さを伝えるべく、あるユニークな屋外看板を立てたのでした。

 

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それがこれです。

 

左側にある、とてもシンプルな看板がマクドナルド。

右側にある、縦に長く積まれた看板がバーガーキングです。

 

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マクドナルドはまっすぐ5km行くだけ。

一方、バーガーキングは・・・とても複雑な標識になっており、

その道のりは258km。目的地がめちゃくちゃ遠いです。

 

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不思議そうに看板を見つめるドライバー。

そうなりますよね。笑

 

もう意味は、お分かりですよね?

 

国内あらゆる場所に店舗を構えるマクドナルドと、

まだ店舗数が乏しく、不便なバーガーキング

それを揶揄する、いたずら心にあふれたOOHなのでした。

 

これで一段落・・・と思いきや。

実はこの応酬、まだ続きがあるんです。

 

バーガーキングが、マクドナルドのいたずら看板を受けて、

公開されたCMの抜粋がこちら。

 

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看板を見て、近くのマクドナルドのドライブスルーに入ってきた一台の車。

 

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車に乗車していた

カップルが頼んだのは、1杯のコーヒーだけ。

その理由がとても秀逸なんです。

 

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「私たちは、長距離移動しないといけないんです。」

 

なんという皮肉でしょう。

ドライバーの男性は、遠方のバーガーキングに行くために、

近場のマクドナルドで眠気覚ましのコーヒーを買ったという訳ですね。

 

そして最後にはイヤらしいぐらいに

すかしたコピーがインサートされています。 

 

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「ありがとう。マクドナルド。

(国中)どこにでもあってくれて。」

 

してやられたぁ・・・って気持ちになりますよね。

少なくとも僕がマクドナルドの担当者なら、

ハンカチをキィーって噛んでしまうぐらい

お見事なカウンターだと思います。

 

 

本場アメリカでのバーガーチェーン抗争はとっても有名ですが、

フランスでもこんな戦いが行われているとは。

 

プロレスじゃないですけど、

ファンはきっとこの戦いを微笑ましく見ていると思うんですよね。

もはや伝統芸というか・・・

 

比較広告に寛容ではない日本では、

この手のものを見るのがなかなか難しいのですが、

これぐらい茶目っ気のある広告があってもいいのになぁと。

 

引き続き、この2社の動向をウォッチしていこうと思います。 

 

都会のクルマじゃつまらない?Jeepがクルマをわざと汚すための”土”缶詰を開発

  • Company: FIAT CHRYSLER AUTOMOBILES
  • Agency: Parasol Island
  • Country: Germany

 

今年75周年を迎えた、言わずと知れた世界のオフロード車ブランド、Jeep。

 

「自由と冒険の75周年」と銘打つアニバーサリーキャンペーン名からも

分かるように、Jeepは常に旅・冒険・自由・好奇心といった

非常にアグレッシブなキーワードのもとで、ブランディングを重ねて来ました。

 

そんなJeepが75周年記念の一環で、

ドイツ作った”とある缶詰”がとても面白いのでご紹介したいと思います。

 

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その名も、「MUD MASK」!(土のマスク)です。

 

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ん?クルマの会社が化粧品出したの?

という感じで、ちょっと混乱をきたしてしまいそうですが、

この土のマスク。マスクはマスクでも

人ではなく”クルマ(Jeep)”のためのマスクなのです。

 

土をJeepに塗り付けて、都会のキレイなJeepを

Jeepらしく汚しちゃえっていう何とも遊び心に溢れてますよね。

 

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これを開発したJeepのブランド担当はこう語っています。

 

「この缶には、本物の冒険者たちが都会で失ったものを詰め込んだ。

100%天然土でできており、退屈な日常から脱出を量りたいと思っている人や、

新しい冒険を求めている人の欲望をカタチにしている。」

 

なんともJeepらしい、男の子心をくすぐる

素敵な理由だと思いやしませんか?

 

 ちなみにこれは販売されておらず、

75周年にあわせて75缶だけプレゼントされるみたいです。

興味のある方は、www.jeep.deでキャンペーンに参加してね、

ということです。※ドイツ語限定です。

 

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うーん、何度見ても無駄にクオリティーが高いです。

男の子が好きそうですよね。 

 

単なる物珍しいキャンペーンに終始せず、

ブランドのメッセージを同時に訴求できている点が素晴らしいです。

PR性もありますし、現地でも話題になったんじゃないかなと思います。

 

アムステルダム市民と観光客をつないだ、たったひとつの黄色いイス

  • Company: Yellow Bike
  • Agency: Wilmar and Matthijs
  • Country: Amsterdam, Netherlands

 

今時の若い観光客たちは、

いわゆる”観光客らしい予定調和な旅行”を求めていません。

いかに”現地の人”になりきって、その土地土地の暮らしを疑似体験できるか。

それが旅行の魅力を決める大きな決め手になっています。

 

アムステルダムを訪れる観光客たちもご多分に漏れず、

そのような思考を持つ人たちが多いらしいです。

 

そして、現地の人になりきるアイテムと言えば、”自転車”ですよね。

日本でも外国人観光客が自転車に乗る姿、よく見かけます。

 

ところが、そこにはあるひとつの問題があったようです。

 

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見ての通り、既に街には市民たちの自転車が飽和しており、

観光客用に自転車を貸すことすら、社会的に反感を買うような状況のようです。

ましてや街のことをよく知らない観光客が運転するとなると

事故の元だったりもしますし、このような状況に街も困り果てていました。

 

そこで名乗りを上げたのが、

アムステルダムでレンタル自転車サービスを展開するYellow Bikeです。

彼らはそんな街や観光客のニーズを汲み取り、

あるひとつのアイデアを考え、実行したのでした。

 

その名も、「Yellow Backie」

 

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市民の自転車の荷台を、黄色いイスに無償で差し替えるという

いたってシンプルな試みでした。

 

これいったい何の意味があるの?と思われると思うのですが、

アムステルダムでは自転車の荷台に友達を乗せる習慣があり、

それをYellow Backieと呼ぶのだそうです。

 

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まさにこんな感じで。

 

その習慣を大々的に告知し、街を行き交う自転車を、

観光客にとってのタクシーに変えてしまったというわけですね。

 

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街で手を挙げれば、自転車にヒッチハイクができる。

そうすることで、街の自転車の数は不用意に増やす必要も無くなりました。

観光客は荷台に乗って、文字通り市民目線で街を楽しむ事ができます。

 

また、市民と観光客がこの黄色いイスをきっかけに仲良くなり、

国と国をつなぐ、友好の象徴にもなったようです。

 

まさに一挙両得なこのアイデア

ふたつの課題をひとつのソリューションで解決する。

誰も損する人がいない、実に素晴らしいアイデアだと思いました。

 

ぜひビデオもご覧になってみてください。