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上海在住の広告クリエイターが、嫉妬に値する世界の広告やアイデアを長らく紹介し続けています。(2012年〜)

朝が弱い人必見!早起きの漁師たちによる、斜め上過ぎるモーニングコールサービスが登場

  • Company: Fisherman Japan
  • Agency: Dentsu, Tokyo
  • Country: Japan

 

「漁業の担い手不足」という社会課題に対して

様々な活動を行っているFisherman Japanが、

斜め上過ぎるサービスを始めたことが話題になっています。

 

その名も…

FISHERMAN CALL

 

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文字通り、前代未聞の漁師によるモーニングコールサービスです。

 

漁師と言えば、”朝に強い”の代表格ですよね。

とある漁師のスケジュールを覗いて見ると…

 

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なんと2時には起床しているようです。

6時には海での仕事を終えて帰港するということからも、

漁師がとんでもなく朝に強いことが分かります。

 

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複数人の漁師からタイプを選べばOK。

あとは抽選式になっているみたいです。

 

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当選した人には、こんな感じで電話がかかってくるみたいです。

この一枚絵を見ただけでとってもシュールですね。笑

 

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もちろんこの企画のゴールは、ただの賑やかしではありません。

漁師との接点をもうけることで、漁業の魅力に気づいてほしい

という切なる願いが込められているようです。

 

少しだけ残念なのは、これが期間限定サービスだということ。

これが少なからずビジネスになって、

漁師が少しでもコールサービスという副業で稼げるようになれば、

継続的にやれるようになったりするものなのかなと。

(現実は、なかなか難しいのだとは理解しつつ…)

 

 

しかし、「漁師×モーニングコール」という意外すぎる

組み合わせの持つ破壊力は凄まじいものがありますね。

世の反応を見ても、このアイデア

素晴らしい着眼点を持ったものであることは間違いありません。

 

Fisherman Japanの次なる一手も、期待して待ちたいと思います。

 

[公式サイト]

call.fishermanjapan.com

 

難民選手団の為に作られた”結束の旗”が、ONE SHOW2017で最高賞を受賞

  • Company: Refugee Nation
  • Agency: Ogilvy, New York
  • Country: USA

 

2016年のリオデジャネイロオリンピックで話題になった、

難民選手団のことを皆さんは覚えていらっしゃるでしょうか。

 

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10人の多国籍なメンバーがいるこの選手団は、

文字通り”難民”で構成されています。

 

様々な事情があって母国に住むことができず、

第三国に住むことを余儀なくされながらも、

その卓越した能力でオリンピックの出場を勝ち取ったメンバーたち。

 

 

当時大統領だったオバマ氏が、

「今夜、初の難民選手団が現れる。彼らが、

どこから参加しようとも成功できるのだということを、世界に証明するだろう。

と力強くTweetしたことでも話題になりました。

 

そんな彼らを支援する為に、Ogilvy New Yorkは

非営利団体「THE REFUGEE NATION」と結託して、

”結束の旗”をつくることにしました。

 

それがこちらです。

 

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アムステルダム在住の難民ヨラ・サイード氏がデザインしたこの旗は、

難民を象徴するライフジャケットをリサイクルして作られました。

 

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真ん中の一本線は”結束”を意味し、

難民たちがこの旗のもとでひとつになれることを意図しています。

 

「この旗は、難民選手団の認知を飛躍的に上げ、ポジティブな会話を

生み出すだろう。また、難民に対する差別と戦うためのものだ。」

と、Ogilvy New Yorkは語ります。

 

また、2017年度の最高賞を与えたONE SHOWのCEOは、次のように述べました。

「政治の不一致や激動の社会において、私たちはどうしたらよいか。

この事例は我々の業界にとって、貴重なエグザンプルとなるだろう。」

 

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孤独な難民選手団、そして難民をつなぐ”結束の旗”は世界中に広がり、

様々な国際イベントなどで活用されています。

 

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あの有名なMOMAニューヨーク近代美術館)にも展示されているようです。

 

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この仕事、もはや”広告”ではないですよね。

作ったのは旗のデザインだけですが、

世界に与えた影響の大きさは計り知れないものがあります。

最上級のコミュニケーションデザインと言えるのではないでしょうか。

 

世界を、そして人間を一歩前進させた素晴らしい仕事ですね。

感服せずにはいられません。納得の最高賞受賞作品のご紹介でした。

 

 

10代の少年がリツイート数世界一を更新!Wendy'sのチキンナゲット1年間無料を賭けたツイートが話題

  • Company: Wendy's
  • Agency: Nothing
  • Country: USA

 

突然ですが、

世界一有名なTweetと言えばこちらではないでしょうか。  

 

2014年のアカデミー賞で、Ellen DeGeneresさんによって撮影された、

世界一豪華なセルフィー。みなさんも見覚えがあるかと思います。

 

リツイート数は なんと340万回以上。

ネスレコードにも登録される名実ともに”世界一のTweet”でした。

 

このたび、その記録が約3年振りに更新されたというのです。

ハリウッドセレブ大集合の豪華すぎるTweetを上回る

つぶやきって一体全体どんなものなのか。

その発信者は大統領か、はたまた希代のポップスターか。

 

そのTweetの主は…

なんと、アメリカのどこにでもいる10代の少年でした。

 

こちらがそのTweetです。 

 

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チキンナゲットが欲しい人、手伝ってください。

by Carter Wilkerson

---

 

なんとリツイート数は本日時点で、既に350万回を超えています。

これ、Twitterが始まって以来のとんでも無い数です。

しかし、この一見何の変哲もないTweetが

なぜそんなにもリツイートされているのでしょうか?

 

タイムラインを遡ってみると、どうやらCarter君がWendy'sに対して、

次のようにTweetしたことに端を発することがわかりました。

 

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やぁWendy'sさん。どれぐらいリツイートを集めたら、

チキンナゲットを1年間無料にしてくれるんだい?

 

単なる挑発にも見えるこのツイート。

それにWendy'sは次のように返信しました。

 

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 1,800万リツイート

 

軽くはぐらかすのかと思いきや、とんでもない数を少年に要求したのでした。

今までの世界のリツイート記録が約340万回ですから、

いかにこの数字が無謀なものなのかはご理解頂けるかと思います。

 

そのまま終わると思いきや、このツイートはあっという間に全米中に拡散され、

企業や有名人たちも相乗りし始める展開に。

#NuggsForCarter(ナゲットをカーター君に贈ろう)

というハッシュタグも生まれ、まるでお祭り状態になっています。

 

下記は、そのほんの一部。

 

 

「100万回達成?ショックです…」

 あまりの盛り上がりに驚きを隠せないWendy's。

 

 

そしてついに…

Carter君のツイートはリツイート数の世界記録を更新。 

 

Twitter公式も、この快挙を祝福。

 

とうとう、あのギネスにもその記録が認められました。

 

そして、前回の世界記録保持者である

Ellen DeGeneresさんともセルフィーをぱしゃり。

 

 

Wendy'sは、自社のナゲットで世界記録を打ち立ててくれた

Carter君に感謝の意を示すべく、彼の大好きな大量のナゲットと

DTFAという孤児を守るNPO団体に10万ドルを寄付することとなり、

この盛り上がりは一区切りとなったのでした。

 

何気ない一般ユーザーとの会話から始まった、今回のお祭り騒ぎ。

企業が発信したのは、たったひとつの”つぶやき”だけです。

しかし、SNS上のユーモラスな対応ひとつで、社会的ムーブメントを巻き起こし、

世の中と強くエンゲージメントすることができることを証明しました。

 

リスクヘッジばかりして、杓子定規になってしまいがちなSNS運用。

アメリカの企業はさすがというか、

このあたりの身のこなし方には国民性が顕著に現れる気がしています。

 

そもそも広告とSNSは、まず根本的にお作法が異なるはずです。

ついつい広告的な文脈の中にごちゃ混ぜして語ってしまいがちなSNS施策ですが、

この事例を糧に、日本でも素晴らしいショーケースを作りましょう。

 

「どんなカタチも美しい。」Doveの”美の多様性”を肯定するボディウォッシュボトル

  • Company: Unilever
  • Agency: Ogilvy, London
  • Country: United Kingdom

 

ユニリーバのDoveと言えば、

数々の優れた広告を発信してきた先駆者として有名ですが、

このたびロンドンから、新たに同ブランドを代表するであろう

素晴らしいアイデアが発表されました。

 

その名も…

The Real Beauty Bottle

です。

 

何がどう、リアルビューティなボトルなのかというと…

 

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単なるボトルと思いきや…

すべて、姿・カタチが違うボディウォッシュボトルになってます。

 

長年ブランドは、

「すべての女性にそれぞれの美しさがあり、

その違いこそ、褒め称えられるべきである」と言い続けてきました。

 

そんな美の多様性を訴えてきたDoveにとって、

このボトルは必然とも言えるアイデアなのでした。

 

「このボトルは、ブランドの長い歴史を僅か2秒で伝えられる、

希有なアイデアであり、製品である」と、

OgilvyのECDであるAndre Laurentinoさんは語ります。

 

とてもシンプルなアイデアですが、

Doveにしかできない、非常に強いものになっていると思いました。

広告と製品が見事に融合した好事例と言えるのではないでしょうか。

 

 

幸運の黒猫!? ブラジルのNGOが行った”元手0円”の里親募集プロモーション

  • Company: RSPCA
  • Agency: Leo Burnett, Sao Paulo
  • Country: Brazil

 

黒猫と言えば、世界共通で”不幸の象徴”と言われています。

特にブラジルやアメリカ、ヨーロッパの諸国でも

その説は根深いようで、黒猫の里親探しはいつも難航するようです。

 

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ブラジルのNGO団体RSPCAは、そういった状況を鑑みて、

元手0円でとあるユニークな施策を試みました。

その名も…

 

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 THE LUCKY BLACK CAT(幸運の黒猫)

 

不運の象徴である黒猫を、

幸運の象徴の象徴に変えてしまおうというアイデア

 

そのやり方は非常にシンプル。

 

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ブラジル中のありとあらゆるプロモーションに、

黒猫の名前で応募しまくったそうです。

 

なんというアナログなやり方でしょうか。笑

 

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結果、18個の景品を獲得。

 

幸運の象徴として、

黒猫のイメージを刷新することに成功したのでした。

 

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世界で里親を捜している猫のうち、約70%は黒猫なんだそうです。

そして多くの猫たちが、

里親を求める間に亡くなってしまうという悲しい現実があります。

 

このキャンペーンが、

一匹でも多くの黒猫の命を救ってくれることを切に願います。

 

 

バレンシアガも認めた!? IKEAのショッピングバッグにそっくり過ぎる高級バッグが登場

  • Company: Ikea
  • Agency: Acne, Ikea Creative Hub
  • Country: Sweden

 

フランスの高級ブランド「バレンシアガ」が発表した

レザーバッグの新商品が「とあるバッグに似過ぎている」

ネットを中心に話題になっているようです。

 

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これ、どこかで見覚えありませんか?

 

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正解はこちら。

IKEAのショッピングバッグにそっくり!

 

ちなみにバレンシアガのバッグは2,145ドル(約24万円)なのに対し、

IKEAのショッピングバッグは僅か99セント(約110円)です。

 

当然のようにネットで話題になったこのバッグ。

それを知ったスウェーデンのエージェンシーAcneは、

すぐにIkea Creative Hubにとある提案をしました。

「2時間以内に、クリエイティブなことをやろう。」

 

そして、その結果できあがったのがこちらのプリント広告です。

 

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「THE ORIGINAL」(本物)と銘打った上で、

バレンシアガとIKEAのバッグの違いを、つらつらと説明する広告になっています。

 

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・何にでも使えます。水だって入れられます

・折り畳めます

・中には本物のタグがついています

・お値段はわずか99セント

などなど。

 

ショッピングバッグの特徴が、

バレンシアガのバッグと対比でとても真面目に描かれています。

 

この広告はたちまち話題を呼び、遂には

バレンシアガもIKEAのバッグに触発されたことを公に認めたようです。

 

※Adweek記事をご参照ください。

www.adweek.com

 

狙ってできるコミュニケーションではないですが、

きちんとブランドの周辺で起きている話題の芽を見つけ、

リアルタイムにコミュニケーションに生かされた好事例

だと言えるのではないでしょうか。

 

エージェンシーとブランドの緊密な連携こそ、

この手のコミュニケーションの鍵となるに違いありませんね。

 

今度はおっぱいが歌う!2016年カンヌを席巻した「Man Boobs」の続編が公開

  • Company: MACMA
  • Agency: David, Buenos Aires
  • Country: Argentina

 

アルゼンチンで、乳がんを撲滅する為に支援する団体MACMA 。

そして同じくアルゼンチンのエージェンシー、David。

彼らがタッグを組んで作った話題作「Man Boobs」が、

2016年の世界の広告業界を席巻したのは記憶に新しいと思います。

 

↓ちなみにこれです。おさらいまでに。

 

通常、ルールとしてソーシャルメディア上では

性的な画像を扱うことは規制されているので、

おっぱいを画像や動画で直接見せることができないのが一般的です。

そんな規制を軽やかに超えて、男性のおっぱいを用い、

乳がんのセルフ検診を強く訴えたものがこの「Man Boobs」でした。

 

そしてこのたび、あの「Man Boobs」を上回る…!?

衝撃の新作が発表されました。

 

その名も…

「EVERYBODY LOVES BOOBS.」

(みんなおっぱいが大好き)

 

それだけ聞くと普通に聞こえると思うのですが、

今度はおっぱいが…

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歌います。

 

乳首の部分が口になっている、ちょっぴりグロテスクな

老若男女・国籍ばらばらのおっぱいシンガーたちが

華麗にコーラスを披露するという内容です。

 

もちろん、ただの出落ちじゃありません。

その歌詞の中には、こんな言葉が出てきます。

 

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「みんなおっぱい好きだよねー」

 

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 「おっぱいって最高、メロンすら後ずさりしちゃう」

 

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「そう、みんなおっぱいに恋してる」

 

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「そんなことないよ…

唯一おっぱいのことを嫌いなやつもいるんだ」

 

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「そう、それは”ガン”よ」

 

おっぱいをただ賛美する歌なのかと思いきや、

乳がんを煩った女性が、

「ガンだけがおっぱいを嫌っている」と歌い始めます。

 

「9人に1人は乳がんを患う可能性がある。

だからこそ、きちんと検診を受けなければいけない。」

 

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「そんな危険から私たちを救って」

 

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最後には、MACMAへのドネートが促されます。

 

「おっぱいが大好きなあなたへ。

身の回りの大切な人を守る為に、寄付しよう。 」

そんなメッセージが込められた、一見ファニーなムービーなのですが、

最終的にはとても考えさせられる仕上りになっています。

 

今年もMACMAがカンヌを席巻するのでしょうか。

これからの世界の反響がとても楽しみな作品だと思いました。