IDEAFUL -ad from the world-

上海在住の広告クリエイターが、嫉妬に値する世界の広告やアイデアを長らく紹介し続けています。(2012年〜)

不揃いな野菜や果物を人気商品に変えた、たった一つのアイデア

  • Company: intermarche
  • Agency: Marcel, Paris
  • Country: France

 

本日はフランスで社会の課題解決につながった、

”For Good”の好事例をご紹介したいと思います。

 

日本でも、カタチや育ちの悪い野菜や果物などが

廃棄処分にあってしまうことは多々ありますが、

フランスでも同様に、その厳しい生産規定から、

大量の食べ物が処分されることが、

ひとつの社会問題となっていました。

 

そこで立ち上がったのが「intermarche」という

フランス国内の大手スーパーマーケットチェーンです。

不名誉にも、不合格の烙印を押された農作物たちに、

救いの手を差し伸べたのでした。

 

不思議なカタチをしたジャガイモや...

 

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双子のような青リンゴ。

 

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二股のレモンまで。 

 

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これらの不揃いな野菜や果物を、通常の3割引きで販売することにしたのです。

 

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それをフランス国内のあらゆるメディア

(TV、ラジオ、OOH、プリント)を使ったり、

店舗内メディアであるPOPやカタログなどを駆使して、

大々的に告知を行いました。

 

その結果、なんら味や栄養価に遜色のない、

不揃いな農作物をの価値に気づいてもらうきっかけを

創出することに成功したのです。

 

また、この試みをブーストさせるために、

あるオリジナル商品の開発にも着手しました。

 

それがこちら。

 

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鮮度抜群のスープやジュースに仕立てて、

綺麗なデザインパッケージをまとわせ、店頭でサンプリングを実施を行ったのです。

 

姿を変えた途端、カタチを気にしていた消費者の価値観は

ガラガラと音を立てて崩壊。価格が安く、しかも味も良いそれらの商品は、

たちまちスーパーの人気商品になったのでした。

 

その結果、不揃いな農作物の価値に気づいた消費者たちは、

積極的に手に取るようになり、見事スーパーの棚もこの通り。

 

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無意識に避けていた心理的バリアが除去されたことで、

商品そのものの価値を、消費者に正しく理解してもらえることに成功したのでした。

 

ちなみにわずか2日間で、1店舗あたり平均1.2トン売れたんだとか。

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シンプルなアイデアですが、

きちっと成果もあがり、何より社会の課題解決に至った。

”For Good”は近年の広告業界のトレンドでもありますが、

ここまで企業の課題と社会の課題が良いバランスで

解決できているのは希有で、とても素晴らしい仕事だと思いました。