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上海在住の広告クリエイターが、嫉妬に値する世界の広告やアイデアを長らく紹介し続けています。(2012年〜)

アムステルダム市民と観光客をつないだ、たったひとつの黄色いイス

  • Company: Yellow Bike
  • Agency: Wilmar and Matthijs
  • Country: Amsterdam, Netherlands

 

今時の若い観光客たちは、

いわゆる”観光客らしい予定調和な旅行”を求めていません。

いかに”現地の人”になりきって、その土地土地の暮らしを疑似体験できるか。

それが旅行の魅力を決める大きな決め手になっています。

 

アムステルダムを訪れる観光客たちもご多分に漏れず、

そのような思考を持つ人たちが多いらしいです。

 

そして、現地の人になりきるアイテムと言えば、”自転車”ですよね。

日本でも外国人観光客が自転車に乗る姿、よく見かけます。

 

ところが、そこにはあるひとつの問題があったようです。

 

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見ての通り、既に街には市民たちの自転車が飽和しており、

観光客用に自転車を貸すことすら、社会的に反感を買うような状況のようです。

ましてや街のことをよく知らない観光客が運転するとなると

事故の元だったりもしますし、このような状況に街も困り果てていました。

 

そこで名乗りを上げたのが、

アムステルダムでレンタル自転車サービスを展開するYellow Bikeです。

彼らはそんな街や観光客のニーズを汲み取り、

あるひとつのアイデアを考え、実行したのでした。

 

その名も、「Yellow Backie」

 

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市民の自転車の荷台を、黄色いイスに無償で差し替えるという

いたってシンプルな試みでした。

 

これいったい何の意味があるの?と思われると思うのですが、

アムステルダムでは自転車の荷台に友達を乗せる習慣があり、

それをYellow Backieと呼ぶのだそうです。

 

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まさにこんな感じで。

 

その習慣を大々的に告知し、街を行き交う自転車を、

観光客にとってのタクシーに変えてしまったというわけですね。

 

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街で手を挙げれば、自転車にヒッチハイクができる。

そうすることで、街の自転車の数は不用意に増やす必要も無くなりました。

観光客は荷台に乗って、文字通り市民目線で街を楽しむ事ができます。

 

また、市民と観光客がこの黄色いイスをきっかけに仲良くなり、

国と国をつなぐ、友好の象徴にもなったようです。

 

まさに一挙両得なこのアイデア

ふたつの課題をひとつのソリューションで解決する。

誰も損する人がいない、実に素晴らしいアイデアだと思いました。

 

ぜひビデオもご覧になってみてください。