IDEAFUL -ad from the world-

上海在住の広告クリエイターが、嫉妬に値する世界の広告やアイデアを長らく紹介し続けています。(2012年〜)

米ドラマ「マッドメン」に登場する”50年前のプレゼン”を採用した、ハインツの英断過ぎる広告

  • Company: Heinz
  • Agency: Sterling Cooper Draper Pryce and DAVID the Agency , New York
  • Country: USA

 

『マッドメン』と言えば、言わずと知れた

米国の1960年代の広告業界をテーマにしたドラマですが、

その作品中に登場するあるアイデアが、

実際にハインツによって採用されたようです。

 

ちなみに、これがそのプレゼンシーン。

 

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ハインツの製品であるケチャップが登場しないとても斬新な広告で、

ポテトフライやハンバーガーの

シズル感たっぷりの写真の上に入れられた

コピーは、

「PASS THE HEINZ.」(ハインツをくれ。)

だけです。

 

ドラマの中では、競合するPeggy Olson社が

もっとプロダクトセントリックなアイデアでピッチを制したため、

この広告は採用されなかったというストーリーになっていました。

 

ところが…50年経った今。

なんとハインツ社が実際にこの広告を採用した、というのです。

 

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ほぼドラマの中に登場する広告と一緒です。

ニューヨークの屋外広告として、掲出されているようです。

 

50年前の、しかもドラマの中に登場する広告を採用するなんて

ハインツ社のユーモア溢れる決断は、まさに英断ですよね。

 

ちなみに本当の仕掛人は、同じくニューヨークにオフィスを構える

DAVID the Agencyなのですが、制作者のクレジットを見ると、

「Sterling Cooper Draper Pryce and DAVID the Agency」となっており、

協業したという設定になっています。

 

ちなみにこれは、David社のCCOのコメントです。

 

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「ドンはよくやってくれた。

美しいフライドポテトやハンバーガーの写真を見てください。

何かがそこには欠けている。わざわざそれが何かを見せなくても、

あなたは気づくことでしょう。」

Anselmo  Ramos, CCO at David

 

なんて洒落の効いた人なのでしょうか。

クライアントも凄ければ、エージェンシーも凄い。

エイプリルフールのネタのようなアイデアを、本当にやってのける。

クライアントとエージェンシーの良好な関係性があるからこそできる、

素晴らしい仕事だと思いました。