Doveの新作ビデオ公開。「あなたはキレイ?それとも普通?」
- Company: Dove
- Agency: Ogilvy & Mather, Chicago
- Country: USA
毎度話題を呼ぶDoveから、新作ビデオが届きました。
振り返ってみると、
Photoshopのレタッチする過程をタイムラプスで追いかけた映像
「Evolution」に始まり、自身の顔を自己申告式で描かせる
「Real Beauty Sketches」など、実証実験系ビデオに定評のあるDove。
今回もまた、自身の美しさを問う実験を行いました。
ある建物の入り口に置かれた「Beautiful」と「Average」と書かれたゲート。
人が任意でどちらかを選び、建物に入っていく様子を
3分尺にまとめたドキュメンタリー型のビデオになっています。
サンフランシスコ、上海、デリー、ロンドン、サンパウロなど
世界の様々な場所でこの実験は行われたようなのですが、
どの国でも基本的には「Average」ゲートを通過する人が殆どでした。
当たり前ですが、万国共通で自分の美しさに自信を持つことの
難しさを感じる結果になっています。
しかし、毎日このゲートをくぐりぬけていると、
たまに「Beautiful」の方を選ぶ気分になれる時があり、
その日は一日とても良い気分だったと振り返る被験者が現れ始めました。
そうです。
美しさは自分のチョイスや気分次第で得られるし、
そもそも美しさとは概念であって、
一様に決められるものではないのです。
Doveはこの実験を通して、世の中の女性たちすべてに
そんなメッセージを送っているように思えます。
Choose Beautiful.
美しいを選ぼう。
女性を美しくするのは、美しいと思う自分自身の気持ち。
そして気持ちが美しい人は、きっと本当に美しい人なのだと思います。
普遍的であり、哲学的でもある、
Doveらしいビデオのご紹介でした。
これは秀逸!Googleの”ネット予約の盲点”を突いたプリント広告
- Company: Google
- Agency: BBDO, Moscow
- Country: Russia
久しぶりの更新になります。
今日はGoogleロシアの秀逸なプリント広告をご紹介します。
日頃、海外旅行などでホテルの予約をする際、
必ずと言ってもいいほどネット予約を利用すると思いますが、
旅行サイトの売り文句には当然ネガティブな情報は載っていませんよね。
素敵なホテルだと思い、実際に行ってみたら、
隣にラブホテルや如何わしい大人のお店があったらどうしますか?
ガッカリしちゃいますよね。
「Know before you go.」
「行く前に知ろう。」
誰もが経験したことのあるようなネット予約の盲点を、
Google Street Viewがあれば解決出来る。
何事も事前に見ましょう、ということですね。
Googleならそれができます、と。
ネットユーザーのインサイトを突いた、
とても秀逸な広告だと思いました。
毎年恒例!John Lewisのクリスマス広告が相変わらず素晴らしい
- Company: John Lewis
- Agency: adam&eveDDB
- Country: United Kingdom
またこの季節がやってきましたね。
そうです。あっという間に、今年もクリスマスです。
ということは、John Lewisの季節と言っても過言ではありません。
毎年素敵なクリスマス広告を手がける、
英デパートのJohn Lewisが、
今年も見事な作品を見せてくれました。
※まだ過去の作品をご覧になっていない方は、
昨年の記事を、先にお読み頂けると良いかと思います。
特に昨年である2013年に発表された、
壮大なストップモーションアニメCMは息をのむクオリティーでした。
John LewisのハートウォーミングなCM集 - IDEAFUL -ad from the world-
今年のCMのタイトルは「Monty The Penguin」。
少年SamとペンギンのMontyの友情を描いた作品になっています。
雨の日も風の日も、ずっと一緒。
仲睦まじいSamとMontyでしたが・・・
あるときSamは、Montyに異変を感じ取ります。
突然とても寂しげな表情を見せるMonty。
そして、それを心配そうに見つめるSam。
一体何が起きたのでしょうか?
呆然と立ち尽くすMonty。
その目の先にいたは、あるカップル。
そして、Samは気づきます。
Montyは、自分が世界にひとりぼっちな
存在であることを悲しんでいるのではないか?
そう悟ったSamは、Montyのために
自分に何か出来ることはないかと考えます。
そして迎えた、クリスマスの夜。
SamはMontyのために、ある素敵なプレゼントを
サンタクロースにお願いしたのでした。
そう、それはMontyが今一番欲しいもの。Montyの新しいお友達でした。
ひとりぼっちのMontyが悲しまないように、
Samはもう一匹のペンギンをサンタクロースにお願いしたのでした。
そして、最後。
このCMの種明かしがここにあるのですが、
思わずハッとさせられる、
素晴らしいエンディングに仕上がっています。
ぜひじっくりご覧になってみてください。
それでは皆さん。ちょっと早いですが、
I wish you a merry christmas!
天気や出来事に応じて変化する、NETFLIXのリアルタイム型デジタルサイネージ
- Company: NETFLIX
- Agency: Ogilvy & Mather, Paris
- Country: France
最近、リアルタイム系ADの事例をよく取り上げていますが、
今度はフランスより、デジタルサイネージを生かした、
NETFLIXの好事例をご紹介します。
そもそもNETFLIX自体、あまり日本には
なじみの無いサービスですが、いわゆる動画配信サービスで、
TSUTAYA DISCASやHuluに感覚は近いものだとお考えください。
そんなNETFLIXがフランスでのローンチをするにあたり、
展開されたのが、今回ご紹介する”リアルタイム型デジタルサイネージ”です。
ちなみに、こんな感じのものを100カ所程度で展開したようです。
これだけ見ると、「ただのデジタルサイネージじゃないの?」と
言いたくなると思いますが、裏側が実は面白いことになっています。
まず、このサイネージは、
実は100種類ものパターンが内蔵されています。
上記の通り、ループするGifアニメ形式になっているので、
容量を押さえることで、それだけのパターンを
作り出すことができたと考えられます。
さらには、動画配信サービスという
コンテンツホルダーのアドバンテージを生かして、
世界中の有名コンテンツ動画を自由に使えるということも、
これだけの数を取り揃えられた理由と言えるでしょう。
そんな豊富な動画データを生かすべく、
NETFLIXは「リアルタイムに起きた出来事や事象にあわせて、
掲出する内容を変化させる」ということにチャレンジしました。
例えば、ある国際スポーツ大会でフランスが負けたときは・・・
ある有名映画より、ガッカリした俳優の映像にチェンジ。
まるで国民の感情を表したかのような、そんな表現にすら見えてきます。
また、外が大雨のときには・・・
あの映画「300」の有名シーンより、
俳優が雨風に吹かれている映像にチェンジ するという仕組みになっていました。
おおよそ、約2時間で全てのサイネージ の映像が
切り替わるような仕掛けになっているようです。
予定調和な広告よりも、
こうしたリアルタイム性が加わることによって、
人々の注目度は高まると思います、
何より共感を呼び易くなる点において、
有効なのではないかなと個人的には感じていたりします。
多様化するリアルタイム広告。
この流れは、しばらく続きそうですね。
エキストラ総勢2,400人。OK Goの世界一大掛かりなワンカットMVが凄い
- Company: OK Go
- Agency: Mori, Tokyo
- Country: Japan
毎度衝撃を与えてくれるOK GoのMV。
今回の新作「I Won't Let You Down」は、
その中でも群を抜く、凄まじい映像に仕上がっています。
公開から一週間を待たずして、約1,000万回の再生。
元々世界で注目されているアーティストであることに加えて、
その再生数の多さが、映像のクオリティーを物語っています。
まずは、四の五の言わずに、MVをご覧ください!
巧みなPR戦略も相まって、
あちこちにPVの裏側を捉えた記事が散見されるので、
面白い話を抜粋してみたいと思います。
まず、スタッフですが、
Creative Directorに原野守弘さん(Mori)。
Art DIrectorに西田淳さん(Drill)。
このお二人はdocomo「森の木琴」のペアですね。
そして、映像ディレクターには関和亮さん。
とあるタイミングで、メンバーと原野さんとの間に
つながりが生まれたことから、今回のMV制作に話が発展したようです。
それにしても、このMVの圧巻のマスゲームには
目を見張るものがありますが、一体どうやって撮ったのでしょう?
凄まじいクオリティー。
まさに、謎が謎を呼ぶ展開になっているのですが、
撮影機材は改造されたドローン。GPSで制御しつつ、
さらに細かく動きを補正したり、ラジコン的に動かす人がいた模様です。
本当に全てが一発撮りなのだとしたら、人もカメラも、
とてつもない練習量がないと、こんな映像作れなかったことでしょう。
OK Go本人たちも、かなり練習を積んだようです。
たびたびその様子がTweetされているのを見ても、
本人たちもかなり関与度高く、
このMV制作に取り組んでいたと思われま。
アーティストにエキストラ、そして企画者や制作者たち。
全ての人が互いにリスペクトし合いながら、
この凄まじい仕事が生まれたと思うと、ただただ感服するばかりです。
受発注の関係を越えてこそ、本当にクリエイティブなものは生まれる。
喧々諤々意見を交わしながら、
ひとつのゴールに向かってアイデアを精錬させていく。
そんなチームとして当たり前だけれども大切なことを、
感じさせられたのでした。
待ち時間のストレスを見事に解決したポルトガルの”踊る信号機”
- Company: Smart
- Agency: BBDO, Germany
- Country: Portugal
信号の待ち時間というのは、
当たり前ですが、どこの国でも退屈なものです。
お国柄によっては信号無視が恒常化し、
交通事故が多発するなんてことも珍しくありません。
本日ご紹介する事例は、
(※厳密に言うと、Agencyはドイツですが)
その名は、
”The Dancing Traffic Light”。踊る信号機です。
もう画像を見て頂ければ、
すぐにこのアイデアの素晴らしさを
ご理解頂けるとと思います。
お決まりの信号機の中の棒人間が、
くねくね不思議なダンスを踊っています。
なんだか見ているだけで、とても楽しい気分になってしまう
とってもユニークでプリティな信号機。
それを見た、街の人々の反応はこんな感じ。
みんな待たされるストレスを忘れて、
ノリノリでダンスしまくってます。
シャイな人の多い日本では、このようにうまくいかないでしょうが、
ポルトガルの人たちの心は鷲掴みされたようで、
結果、81%の人たちが赤信号でちゃんと待機してくれたのだとか。
まぁ日本だったら、こんなことしなくても90%近くの人が
信号を守ると思いますが、そこはご愛嬌ということで
目をつむってあげてください。
ちなみに、近くの広場に設置されたブースでは
ダンサーを募集しており、その箱の中で踊ると、
リアルタイムにモーションキャプチャされて、
この信号内のアニメーションとして利用される仕組みのようです。
正直、この部分は企画上、少々蛇足な気がしますが、
PRも考えた設計ということなのでしょうか。
いずれにしてもシンプルながら強く、
そして見る人の心をつかむ愛らしさがあるこのアイデア、
とても素晴らしい仕事だと思いました。
iPhone6の"Bendgate"事件に便乗した、リアルタイムツイートが面白い
先日も英国ケイト妃の第二子妊娠にあわせた、
企業のリアルタイムツイートをご紹介したばかりですが、
今度はアメリカで爆発的に広がっている、
"Bendgate"事件に便乗したリアルタイムツイート合戦に
フューチャーしたいと思います。
*詳しくは、以下参照ください。
英キャサリン妃ご懐妊速報に便乗した、リアルタイムツイート合戦 - IDEAFUL -ad from the world-
日本では聞きなじみの無い"Bendagate"という言葉ですが、
「Bend=曲がる」という意味で、もうお察しの通り、
ポケットの中でiPhone6/6plusが曲がってしまうというニュースが
爆発的に拡散し、その現象にGateという言葉がつけられて
”事件化”されたことによって生まれた造語なのです。
過去に"Watergate"事件という言葉もありましたが、
アメリカではそういった言葉を作るのが流行っているみたいです。
Appleからしてみれば単なるネガティブな事件なのですが、
さすがアメリカ。そんなネガティブな事件を嘲笑うかのように、
たくさんの企業がリアルタイムツイート合戦を繰り広げています。
●KITKAT
言わずと知れたチョコブランド。
日本でも受験キャンペーン「きっと勝つ」などが有名ですが、
アメリカでは、かなりユニークなTweetを日々投稿しているようです。
We don't bend, we #break. #bendgate #iPhone6plus
私たちは曲げない。折れます。
28,108RT/ 13,221FAV
驚異的な数値を記録しており、かの有名な
Oreoのリアルタイムツイート、「Blackout Tweet」を
凌ぐ数値を記録し、世界最高記録と言われています。
●Heineken
世界的ビールブランドのHeineken。
こちらはかなり踏み込んでTweetを展開しています。
Dear Apple... #BendGate
拝啓Apple様...
11,370RT/ 4,415FAV
「瓶の蓋を取る際に、
僕らの製品も曲がるから心配しないでいいよ。」
というジョーク付き。うーん、凄いです。
現時点で、1万RT超え。
フォロワー数が僅か1.4万人ですから、
いかに凄い数値かがお分かり頂けると思います。
●LG USA Mobile
Appleの競合、LGもかぶせてきました。
かなり挑発的です。
Our phone doesn't bend, it flexes...on purpose. #bendgate
私たちの携帯電話は曲がらない。目的にあわせて、柔軟なだけ。
9,411RT/ 4,526FAV
これもほぼ1万RTを獲得。
フォロワー数は約13.5万人ですから、かなり凄い数値です。
挑発的なコピーに、思わず閉口しちゃいますが、
製品特徴もしっかり訴求している点がさすがです。
● Pringles
日本でもおなじみのお菓子、プリングルス。
これはおそらく製品特徴にかけて、うまく表現している模様。
Bends rule! #bendgate
ルールを曲げよう!
What's wrong with a little bend?
ちょっと曲がったくらいで、何か問題でも?
2,148RT/ 1,048FAV
ツイストしたポテトが特徴の同社の製品にかけて、
このようなコピーにしたのではないか?と推測しています。(*未確認)
フォロワー16万人で2,000超えのRT。
通常のリアクションレートから考えると、かなりのスコアだと思います。
以上、発見できたTweetの中でも選りすぐりの投稿をご覧頂きました。
いかがだったでしょうか?
日本でも、今年PEPSIがコカ・コーラを徹底的に批判する、
比較広告が話題になりましたが、お国柄と合致せず、
あまりセールスに結びついていないという噂も聞いています。
もし日本で同様の展開をやった場合、
どのような反響が得られたのかは分かりませんが、
社会的なトレンドに乗せて、企業がTwitterをいたずら心を持ちながら
楽しんで運用している感じというのは、とても新鮮なものがあります。
踏み込んでよいゾーンと悪いゾーンの目利きは必要ですが、
こういうリアルタイムマーケティングの波は、
必ず日本にも訪れるに違いないでしょう。
引き続きウォッチしていきたいと思います。