「今までの広告は無視して!」KFCの勇気溢れる”広告取り下げ”キャンペーン
- Company: KFC
- Agency: Mother, London
- Country: Global
当ブログでも、コロナ禍に生まれた
数々の素晴らしいキャンペーンやアイデアを紹介してきましたが、
今度は今までの広告を否定しかねない、
KFCの勇気あふれるキャンペーンをご覧ください。
KFCの初のグローバルキャンペーンとなった当広告。
一体何がすごいのか?下記のOOHをご覧ください。
Finger lickin' not currently advised.
今は指を舐めることはオススメできません。
KFCは長年にわたって
「It's Finger Lickin' Good」(思わず指まで舐めたくなる美味しさ)を
タグラインにして広告を展開してきました。
しかし、このコロナ禍において、
「指を舐めることをオススメしない」と言い出したのです。
Caution: May cause finger lickin'.
ご注意:指を舐める行為を助長するかもしれません。
自社のチキンを食べることを、まるで危険な行為のように説明しました。
Lick fingers at your own risk. *Thumbs included.
指を舐める行為は、自己責任で。 *親指も含みます。
さらにこちらの場合は、
舐めてもいいけど自己責任であることを強調ています。
同時に発表されたCMでは、
はっきりと「IGNORE IT.(無視してください)」と述べ、
過去のキャンペーンを否定するメッセージを発信しました。
KFCが突如、なぜそんなことを言い出したのかというと、
もちろんそれはコロナパンデミックに起因しています。
「指を舐める行為を推奨する広告は今にふさわしくない」と、
KFCはステートメントの中で説明しています。
いわばブランドにとって財産とも言えるタグラインを否定し、
世界に向けてメッセージを発信したKFC。
コロナ禍において経営にも打撃を受けているであろうに、
お客さんを敬遠しかねないリスクを取ったキャンペーンは、
賞賛に値するのではないでしょうか?
今企業に問われているのは目先の利益ではなく、
中長期的にブランドを育てる顧客の信頼だということに
気づかせてくれる素晴らしいキャンペーンだと思いました。