IDEAFUL -ad from the world-

上海在住の広告クリエイターが、嫉妬に値する世界の広告やアイデアを長らく紹介し続けています。(2012年〜)

「今までの広告は無視して!」KFCの勇気溢れる”広告取り下げ”キャンペーン

  • Company: KFC
  • Agency: Mother, London
  • Country: Global

当ブログでも、コロナ禍に生まれた

数々の素晴らしいキャンペーンやアイデアを紹介してきましたが、

今度は今までの広告を否定しかねない、

KFCの勇気あふれるキャンペーンをご覧ください。

 

KFCの初のグローバルキャンペーンとなった当広告。

一体何がすごいのか?下記のOOHをご覧ください。

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Finger lickin' not currently advised.

今は指を舐めることはオススメできません。

 

KFCは長年にわたって

「It's Finger Lickin' Good」(思わず指まで舐めたくなる美味しさ)を

タグラインにして広告を展開してきました。

しかし、このコロナ禍において、

「指を舐めることをオススメしない」と言い出したのです。

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Caution: May cause finger lickin'.

ご注意:指を舐める行為を助長するかもしれません。 

 

自社のチキンを食べることを、まるで危険な行為のように説明しました。

 

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Lick fingers at your own risk. *Thumbs included.

指を舐める行為は、自己責任で。 *親指も含みます。

 

さらにこちらの場合は、

舐めてもいいけど自己責任であることを強調ています。

 

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同時に発表されたCMでは、

はっきりと「IGNORE  IT.(無視してください)」と述べ、

過去のキャンペーンを否定するメッセージを発信しました。

 

KFCが突如、なぜそんなことを言い出したのかというと、

もちろんそれはコロナパンデミックに起因しています。

「指を舐める行為を推奨する広告は今にふさわしくない」と、

KFCはステートメントの中で説明しています。

 

いわばブランドにとって財産とも言えるタグラインを否定し、

世界に向けてメッセージを発信したKFC。

コロナ禍において経営にも打撃を受けているであろうに、

お客さんを敬遠しかねないリスクを取ったキャンペーンは、

賞賛に値するのではないでしょうか?

 

今企業に問われているのは目先の利益ではなく、

中長期的にブランドを育てる顧客の信頼だということに

気づかせてくれる素晴らしいキャンペーンだと思いました。

 

www.youtube.com