ペルー・マクドナルドによる、”大人の為”のこどもの日キャンペーンが微笑ましい
- Company: McDonald's
- Agency: Tribal 121, Lima, Peru
- Country: Peru
こどもも大好きなマクドナルド。
8月の第3日曜日「こどもの日」に、ペルーで行われた
”大人向け”のこどもの日キャンペーンが
とても素敵だったのでご紹介させて頂きます。
「すっかり身も心も大人になったお客さんたちが、
童心を取り戻せるような経験をしてもらえないだろうか?」
そんな考えの下、実行されたのが
この「Speak like a Child」キャンペーンです。
文字通り、「子供のような話し声で注文をしてみよう!」
というシンプルな企画なのですが、
一体どうやってそれを実現したのかというと・・・
上記のように特殊なマイクとアンプをセットし、
それを用いてリアルタイムに声色を変化させるという
仕組みになっていました。
機会を通して会話すると、異常なぐらいハイトーンボイスで、
まるで子供が話しているような印象に!
その声を聴いたお客さんは、
顔と声のギャップにやられて、思わず笑顔がこぼれます。
マイクを貸してあげるからみんなもどうぞ!
ということで、お客さんも子供のようなハイトーンで注文を行いました。
店内がとってもにぎわっていていい感じです。
参加してくれた人には、子供に大人気の
「マックフルーリー」がもれなくプレゼントされたようです。
なかなか照れくさいコミュニケーションですが、
参加した人も、それを見た人もほっこりしてしまいますね。
子供の頃からなじみのあるマクドナルドだからこそ、
たまには童心に帰りたくなる、帰る意味がある、
腑に落ちる、とても素敵なコミュニケーションだと思いました。
↓実際の映像を見て頂くと、滑稽な感じがよく伝わると思います。
献血でチケットがもらえる、ルーマニアの”ドラキュラ”フェス
- Company: Romania's National Institute for Blood Transfusions
- Agency: McCann Bucharest
- Country: Romania
ルーマニアで毎年開催される音楽フェス「Untold Festival」。
開催地であるトランシルヴァニアという地域は、
あの吸血鬼、ドラキュラのホームタウンとして有名なんだそうです。
David GuettaやAviciiなど、世界的なアーティストも数多く参加する
国民の注目度も高いこのイベントに、ルーマニアの血液センターが目を付け、
行われているキャンペーンをご紹介したいと思います。
これが、キャンペーンのポスターです。
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Not only vampires need blood.
血液が必要なのは吸血鬼だけではない。
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もうお分かりですかね?
ドラキュラのふるさととして名高い、トランシルヴァニアで
行われるそのフェスティバルであることにかけて、
献血を促すポスターを作ったのでした。
これだけでも十分面白いのですが、
ルーマニアの首都ブカレストでは、献血を行うとフェスティバルの
フリーチケットがもらえるキャラバンを展開したようです。
ルーマニアはヨーロッパの中でもぶっちぎりで献血者数が少なく(約1.7%)、
さらにその内の若者の数はわずか全体の約14%と、
献血に対する理解や行動が少ないことが社会問題になっていたようです。
「献血を通じて、フェスに参加する」という
非常にシンプルな”人参ぶらさげ構造”ですが、
ドラキュラのホームタウンで開催されるフェスにかけた、
というところがストーリーとして素晴らしく、
シェアラブルなキャンペーンだと思いました。
最高気温を記録するとマックフルーリーが無料に!?マクドナルドの仰天ビルボード
- Company: McDonald's
- Agency: TBWA/Neboko
- Country: Netherlands
場所はオランダの首都、アムステルダムのど真ん中。
2015年7月4日、最高気温を記録するかもしれない炎天下の日に、
ビルボードの中には、暑いの日のクールダウンにぴったりな
アイスフロートのようなデザート、”マックフルーリー”の
空カップが100個ぎっしり積みこまれています。
そして、そのボードには
「過去の最高気温38.6度を超えれば、自動的に開きます」と書かれています。
なんて夢のある企画なのでしょう!
気温次第で、無料でデザートがもらえてしまうというわけです。
ボードには温度計が仕込まれており、広場に集まった人たちは
最高気温に到達するその瞬間を、まだかまだかと待ちわびている様子。
そしてついに、気温は38.6度に到達!!
ビルボードの扉がオープンし、その場に押し寄せた人々が
マックフルーリーの空カップを勢い良く手に取ります。
ものの数分で、ビルボードのカップは無くなってしまったようです。
空カップを最寄りのマクドナルドに持ち込むと、
無料でマックフルーリーをもらえる仕組みに。
店から出てきたお客さんのこの表情。
とてもご満悦のようです。
たかだか(といったら失礼ですが・・・)数百円程度のマックフルーリー。
無料でサンプリングするのはなんら珍しいことでもないのですが、
このように”最高気温記録時”という絶妙なモーメントを捉え、
且つエンターテインメントとして昇華することで、
とても魅力的なプロモーションに仕上がっていると思いました。
アナログな中にテクノロジーを組み込むとで、全く新しい体験価値を生み出す、
そんなことの重要性に気づける事例なのでした。
カンヌ2015まとめ①〜個人的回顧録〜
今年もカンヌの季節がやってきました。
個人的には、毎年悔しい思いをするこの時期なのですが、
日々タイムラインにあがって来るカンヌ情報に触れるたびに、
改めてカンヌが持つ広告界への影響力の大きさを感じる次第です。
さて、今回は当ブログ初の試みですが、
カンヌのグランプリ作品を中心に、
個人的に気になったものをバーッと取り上げちゃおうと思います。
雑で恐縮ですが、カンヌ作品を一覧で眺めたい人は必見!
今回はその第1弾です。ぜひご覧ください。
●Promo&Activation
-Grand Prix
Volvo UK / Lifepaint
毎年19,000件程度の自転車を巻き込んだ交通事故があるというイギリス。
そこで、ボルボが開発したのが「Lifepaint」と呼ばれる、光を反射するスプレーです。
想像以上の反響で、世界展開も視野に入れているとのこと。
もはや広告ではありません。完全にプロダクトを開発したという事例です。
●Mobile
-Grand Prix
Google / Cardboard
段ボールで出来た折りたたみ式のVR体験セット。
iPhoneなどのスマホを挟む込むと、まるでヘッドマウントディスプレイに。
もはや広告でもなんでもなく、”発明”ですよね。これ。
お手軽さも相まって、デベロッパーに好まれ、
600以上の専用アプリも開発されたようです。
●Direct
-Grand Prix
VOLVO / INTERCEPTION
全米が注目するスーパーボウル。
ここにSPOTを投下すると注目度は抜群ですが、その分、
超高額なメディアフィーを払わねばならないのは周知の事実です。
大会のオフィシャルスポンサーでもないVOLVOが行った施策は、
実にユニークなものでした。事前のCMの中で、VOLVOは
「新型のXC60をあげたいのは誰ですか?」と問いかけます。
このキャンペーンの応募方法は、スーパーボウルで流される競合他社の
CMのタイミングに、ハッシュタグ「#VOLVOCONTEST」をつけてTweetすること。
その中から、当選した人には本当に車が送られるという企画になっていました。
他社のCMを、まさにInterception(横取り)してしまう、
エポックメーキングなキャンペーンになっていたというわけです。
これでどの程度の参加があったかは定かではないのですが、
いかにもアメリカらしい、ユニークな仕事ですよね。
-Gold
MARC DORCEL / Hands Off
この作品はゴールドなのですが、
ヨーロッパで人気のポルノビデオサイト「MARC DORCEL」が行った
無料キャンペーンがあまりに秀逸だったので、ご紹介します。
「Hands Off(手を触れるな)」というキャンペーン名どおり、
無料で見せるけど、手は使わないでね、という何とも下世話なアイデア。
映像を見るには、両手を使って指定されたアルファベットを押し続けないといけません。
つまり、完全に手が離せないので、肝心なコトもできないという訳です。
なんともアホらしいのですが、アホな男の習性を熟知した、
玄人の仕事と言えるでしょう。
※ビデオは、周りに注意して視聴環境を整えてからご覧ください。
イタリアのエアラインによる、世界にひとつだけの”自分専用”機内誌
- Company: TAM Airlines
- Agency: FCB, Millan
- Country: Italy
イタリアのTAM Airlinesが、
顧客満足度向上のためにてこ入れした
機内誌改善施策をご紹介いたします。
調査によると、そもそも機内誌に何が書かれていたかを覚えている人は11%以下、
更に飛行時間の3%しか読んでいないということが分かりました。
そんな注目度の低い機内誌を、どうすれば
乗客にとって魅力的なものに変えられるでしょうか?
そんなお題のもとで誕生したのが、
この「OWNBOARD MAGAZINE」です。
なんとこの機内誌、
表紙のひとつひとつに乗客の顔写真が印刷されています。
一体これどうやっていると思いますか?
その秘密は、ここにあります。
チケット購入時にFacebookアカウントを読み込ませることで、
TAM AIrlines側に乗客の情報を、事前にインプットさせる
仕組みになっていたというわけです。
その結果、エアライン側は搭乗予定の顧客の趣味志向から、
好きなものや場所、友達までをも割り出すことが可能となりました。
表紙だけではなく、雑誌の中身まで
お客さん一人ひとりにあった内容にカスタマイズされていたようです。
例えば猫を飼っているイザベラさんの雑誌には、
「こんな猫もお好きでしょ?」ということで、
いろんな猫のグラビア写真が入ったページが用意されていました。
機内に座り、雑誌を見つけたお客さんの反応はこの通り。
自分専用の機内誌に興味津々のご様子です。
その結果、100%の乗客が機内誌を持ち帰り、
閲読時間も1,200%という、とてつもない成果を得たようです。
この雑誌を一体どれぐらいの部数作ったのかは謎ですが、
お客さんにとっては、きっと想い出に残る
ステキな経験となったに違いありません。
魅力が低下したメディアも、アイデア次第では再び輝くことが出来る。
そんなことに気づかせてくれた、好事例をご紹介させて頂きました。
しつこいリターゲティングバナーを便利なモノに変えた、Post-itの素晴らしいアイデア
- Company: Post-it
- Agency: Proximity Russia, Moscow
- Country: Russia
最近ネットサーフィンをしていると、
やたらしつこく”リターゲティングバナー”が
表示されることが多くなったと思います。
どこもかしこもこのシステムを導入し、
ユーザー的には便利なようでしつこくつきまとわれる
気持ち悪さのようなものがありました。
そんな(嫌われモノの?)リターゲティングバナーを、
素敵なモノに変えた、Post-itの素晴らしいアイデアをご紹介します。
なんとこれ、
WEB上に直接貼り付けられる”Post-itバナー”になっています。
公式サイトを訪れ、自分のto doなど
リマインドが必要なメモを書き込むと・・・
COOKIEを照らし合わせ、
以降表示されるすべてのリターゲティングバナーを
Online Post-itに変えてしまうという優れものなのです。
その結果、どこを訪れても
自分でメモしたPost-itがついてまわります。
何度も何度もしつこく勧誘してきたあのリターゲティングバナーが、
アイデアひとつで、あっという間に便利なしろものに様変わり。
言わずもがなですが、
Post-itの本質的な商品価値である「リマインドすること」を、
WEB上で体現したこのコミュニケーションは、
ただユーザーにとって便利なだけにとどまらず、
しっかりブランディングに帰結している点が素晴らしいと思いました。
世界初!Poweradeによるエクササイズできるビルボード広告
- Company: Powerade
- Agency: Ogilvy & Mather, Berlin
- Country: Germany
Poweradeと言えば、
日本ではそこまでなじみ深い飲み物ではないですが、
掛け合わせた機能性飲料のこと。
そんなPoweradeがドイツ・ベルリンで行った、
ビルボード施策がとてもユーモラスなのでご紹介します。
その名も「Workout Billbooards」
文字通り、エクササイズができる屋外広告です。
例えばこれ。
ベルトコンベアのように縦に壁が動き、
無限にクライミングできる広告になっています。
これは、背筋を鍛えるマシン風の広告。
重さももしかしたら選べるのもやもしれません。
そして、これはパンチングマシーン。
この中央の的を思いっきりパンチすると、
その威力を左側のゲージがカウントしてくれる仕組みになっています。
エクササイズに参加すると、
その場でスタッフからパワーエイドを渡され、
みなさんニコリとこの笑顔。
道行く人が集まって、とっても盛り上がっているご様子。
なんだか凄く楽しそうです!
この広告が、恥ずかしがり屋の日本人に
向いているかどうかは置いておいて、
広告を作って事件を起こすという
「PR×Creative」の発想は、まさに世界的なトレンドと言えるでしょう。
少ない予算を効果的に話題拡散させる常套手段として、
今後もこの手の仕事は増えていくのではないでしょうか。
日本でも、こういう底抜けに楽しい広告に出会ってみたいし、
作ってみたいと思う、今日この頃でした。