ロシアの保険会社によるYouTubeを活用した”じらし広告”
- Company: Intouch
- Agency: BBDO, Russia
- Country: Russia
YouTubeのUIの特徴を生かした、
ロシアのアイデアフルな事例をご紹介します。
保険会社のIntouchがYouTubeにUPしたのは、
一見何の変哲も無い、車のダッシュボードに
取り付けたカメラによる10分間の映像。
先を行く一台の車を、
ひたすら追いかけるような映像がずっと続きます。
これだけ見ると、一体何の広告なのかさっぱりわかりません。
YouTubeを利用する際、何も起きない映像を
10分間もおとなしく見続ける人はおそらく皆無でしょう。
そこで映像を先送りしようとカーソルを動かすと・・・
実はここにアイデアが隠されていました!
サムネイル上に、
こちらに向かって突進して来る
トラックらしきものが映っています。
そのまま正面衝突したのちに表示された
「DON'T RUSH」というコピー。
そうです。一見ただのドライブ映像にも見えるこの作品には、
「車の運転もYouTubeでの鑑賞も、焦らずにお楽しみください」
という保険会社らしいメッセージが隠されていたのでした。
YouTubeを利用している時、
ついついせっかちになって映像を先送りしてしまう、
そんな人のインサイトをうまく捉えた、
まさにアイデア!という事例だと言えるでしょう。
ちなみに、このメッセージは
一体どのように表示されているのでしょうか?
映像をじっくり見返してみると、
5秒置きぐらいに、サブリミナル的に
1フレームだけ画像が差し込まれているのが分かります。
おそらくそれを重ねることで、
プログレスバーのサムネイル上にだけ
異なるメッセージを入れ込むことに成功したと思われます。
UIを知りつくしたからこそ辿り着く、素晴らしいアイデアですね。
実際の映像も、ぜひご覧になってみてください。
ポイ捨てゴミからDNAを読み取りサイネージに反映させた、効果絶大過ぎるOOH
- Company: Hong Kong Cleanup Initiative
- Agency: Ogilvy & Mather, Hong Kong
- Country: Hong Kong
社会現象化している、香港のゴミのポイ捨て問題。
どこの国でも置きがちなこの問題を、
鮮やかに解決した好事例をご紹介したいと思います。
それは、落ちているタバコやカップなどを拾うところから始まります。
その後、ゴミを介して人間のDNAを採取。
いったい何が始まると思いますか?
なんとそこから、最新のテクノロジーを駆使して、
ゴミをポイ捨てした名もなき人物の顔を特定。
忠実に犯人の顔をあぶりだすことに成功しました。
その後、検出された顔は、
街のあちこちに設置されたサイネージを介して
犯罪者のような出で立ちで、大々的に掲出されることに。
もしあなたがポイ捨ての犯人だとしたら、
これを見てどのような気持ちになるでしょうか?
「バレなきゃ、なにしたってよい。」
ポイ捨てしている多くの人のインサイトは、まさにこれでしょう。
しかし、このアイデアはそんな人間の弱い部分を
見事なまでに見透かした鮮やかさと強さがあり、
コミュニケーションとしても非常に効果的だと思いました。
今後、世界の広告賞を席巻していくことでしょう。
世界一人を幸せにする!? カールスバーグの屋外広告
- Company: Carlsberg
- Agency: Fold7, Mission Media
- Country: United Kingdom
今日はイギリスはロンドンから、
”世界一人を幸せにする”
カールスバーグの素敵な屋外広告をご紹介します。
「Probably the best poster in the world.」
おそらく、世界で最高のポスター。
自ら、そう銘打ったこの広告。
そのアイデアは至ってシンプルです。
なんと、自分でビールを注ぐことができる、
フリーサーブシステムになっています!
どこからグラスを持ってきたのか分からないのですが、
あっという間に長蛇の列。そりゃそうですよね。
ビールが自由に飲めるなんてまるで天国ですね。
見てください。この満足そうな、お客さんの笑みを。
ちなみに18歳の人が飲めないように、
しっかりモニタリングされていたようです。
酔っぱらいの人に事件を起こさせないためにも、
そういった有人監視はこの手の企画にはマストでしょうね。
「TV広告に依存しない広告の在り方を考えねばならない。」
「そのためにもこういった施策は必要。」というのが、
ブランドマネージャーのDharmesh Ranaさんの見解だそうです。
ここまで認知度も高い商品の場合、
いかに「経験的価値」をお客さんに提供出来るか、
それによってエンゲージメントを深められるかが課題だと思います。
単なるサンプリングよりも、よっぽど夢があり、
アイデアフルな事例だと思いました。
動く写真、”シネマグラフ”って知ってますか?
日々、新しい表現が開発され続けてる昨今、
アナログなのにどこか新しく感じる
動く写真”Cinemagraph(シネマグラフ)”という
表現フォーマットを皆さんご存知でしょうか。
こちらがシネマグラフで作られた作品の数々です。
どうですか?
なぜか見ていて不思議な印象を受けますよね。
静的なはずの写真に息吹が込められ、
動くもの以外は時が止まって見えてきます。
どこか神秘的でもあるこの写真、いや動画?こそが、
シネマグラフと呼ばれる、新しい表現として
今注目されているようです。
これらの一連の作品を手掛けているのは、
ニューヨーク在住のアーティスト、
Kevon Burgさんと写真家のJamie Beckさん。
グラフィックアーティストと写真家。
ふたりの個性が相まって、今まで誰も見たことが無い
不思議な表現が生まれたようです。
Gifという形式を活用しているため、
TwitterやTumblr、Facebookなど場所を選ばずに
シェアしやすいのもこのフォーマットの優れた点と言えるでしょう。
この作品を見た、
スーパーモデルのCoco Rochaはこう語っています。
「It's more than a photo but not quote a video.」
これは写真以上のもの。でも完全なるビデオでもない。
Stuart Weitzmanというファッションブランドは、
このアイデアに目を付け、自社のInstagramアカウントを活用して、
シネマグラフの作品を発表していることで話題になりました。
まだまだ日本には浸透していない、この新フォーマット。
ファッションはもちろんのこと、他の業種でも
十分に活用する可能性を秘めた面白い表現だと思います。
誰よりも先に、”シネマグラフ”を活用してみるのはいかがでしょうか?
Doveの新作ビデオ公開。「あなたはキレイ?それとも普通?」
- Company: Dove
- Agency: Ogilvy & Mather, Chicago
- Country: USA
毎度話題を呼ぶDoveから、新作ビデオが届きました。
振り返ってみると、
Photoshopのレタッチする過程をタイムラプスで追いかけた映像
「Evolution」に始まり、自身の顔を自己申告式で描かせる
「Real Beauty Sketches」など、実証実験系ビデオに定評のあるDove。
今回もまた、自身の美しさを問う実験を行いました。
ある建物の入り口に置かれた「Beautiful」と「Average」と書かれたゲート。
人が任意でどちらかを選び、建物に入っていく様子を
3分尺にまとめたドキュメンタリー型のビデオになっています。
サンフランシスコ、上海、デリー、ロンドン、サンパウロなど
世界の様々な場所でこの実験は行われたようなのですが、
どの国でも基本的には「Average」ゲートを通過する人が殆どでした。
当たり前ですが、万国共通で自分の美しさに自信を持つことの
難しさを感じる結果になっています。
しかし、毎日このゲートをくぐりぬけていると、
たまに「Beautiful」の方を選ぶ気分になれる時があり、
その日は一日とても良い気分だったと振り返る被験者が現れ始めました。
そうです。
美しさは自分のチョイスや気分次第で得られるし、
そもそも美しさとは概念であって、
一様に決められるものではないのです。
Doveはこの実験を通して、世の中の女性たちすべてに
そんなメッセージを送っているように思えます。
Choose Beautiful.
美しいを選ぼう。
女性を美しくするのは、美しいと思う自分自身の気持ち。
そして気持ちが美しい人は、きっと本当に美しい人なのだと思います。
普遍的であり、哲学的でもある、
Doveらしいビデオのご紹介でした。
これは秀逸!Googleの”ネット予約の盲点”を突いたプリント広告
- Company: Google
- Agency: BBDO, Moscow
- Country: Russia
久しぶりの更新になります。
今日はGoogleロシアの秀逸なプリント広告をご紹介します。
日頃、海外旅行などでホテルの予約をする際、
必ずと言ってもいいほどネット予約を利用すると思いますが、
旅行サイトの売り文句には当然ネガティブな情報は載っていませんよね。
素敵なホテルだと思い、実際に行ってみたら、
隣にラブホテルや如何わしい大人のお店があったらどうしますか?
ガッカリしちゃいますよね。
「Know before you go.」
「行く前に知ろう。」
誰もが経験したことのあるようなネット予約の盲点を、
Google Street Viewがあれば解決出来る。
何事も事前に見ましょう、ということですね。
Googleならそれができます、と。
ネットユーザーのインサイトを突いた、
とても秀逸な広告だと思いました。
毎年恒例!John Lewisのクリスマス広告が相変わらず素晴らしい
- Company: John Lewis
- Agency: adam&eveDDB
- Country: United Kingdom
またこの季節がやってきましたね。
そうです。あっという間に、今年もクリスマスです。
ということは、John Lewisの季節と言っても過言ではありません。
毎年素敵なクリスマス広告を手がける、
英デパートのJohn Lewisが、
今年も見事な作品を見せてくれました。
※まだ過去の作品をご覧になっていない方は、
昨年の記事を、先にお読み頂けると良いかと思います。
特に昨年である2013年に発表された、
壮大なストップモーションアニメCMは息をのむクオリティーでした。
John LewisのハートウォーミングなCM集 - IDEAFUL -ad from the world-
今年のCMのタイトルは「Monty The Penguin」。
少年SamとペンギンのMontyの友情を描いた作品になっています。
雨の日も風の日も、ずっと一緒。
仲睦まじいSamとMontyでしたが・・・
あるときSamは、Montyに異変を感じ取ります。
突然とても寂しげな表情を見せるMonty。
そして、それを心配そうに見つめるSam。
一体何が起きたのでしょうか?
呆然と立ち尽くすMonty。
その目の先にいたは、あるカップル。
そして、Samは気づきます。
Montyは、自分が世界にひとりぼっちな
存在であることを悲しんでいるのではないか?
そう悟ったSamは、Montyのために
自分に何か出来ることはないかと考えます。
そして迎えた、クリスマスの夜。
SamはMontyのために、ある素敵なプレゼントを
サンタクロースにお願いしたのでした。
そう、それはMontyが今一番欲しいもの。Montyの新しいお友達でした。
ひとりぼっちのMontyが悲しまないように、
Samはもう一匹のペンギンをサンタクロースにお願いしたのでした。
そして、最後。
このCMの種明かしがここにあるのですが、
思わずハッとさせられる、
素晴らしいエンディングに仕上がっています。
ぜひじっくりご覧になってみてください。
それでは皆さん。ちょっと早いですが、
I wish you a merry christmas!