アムステルダム市民と観光客をつないだ、たったひとつの黄色いイス
- Company: Yellow Bike
- Agency: Wilmar and Matthijs
- Country: Amsterdam, Netherlands
今時の若い観光客たちは、
いわゆる”観光客らしい予定調和な旅行”を求めていません。
いかに”現地の人”になりきって、その土地土地の暮らしを疑似体験できるか。
それが旅行の魅力を決める大きな決め手になっています。
アムステルダムを訪れる観光客たちもご多分に漏れず、
そのような思考を持つ人たちが多いらしいです。
そして、現地の人になりきるアイテムと言えば、”自転車”ですよね。
日本でも外国人観光客が自転車に乗る姿、よく見かけます。
ところが、そこにはあるひとつの問題があったようです。
見ての通り、既に街には市民たちの自転車が飽和しており、
観光客用に自転車を貸すことすら、社会的に反感を買うような状況のようです。
ましてや街のことをよく知らない観光客が運転するとなると
事故の元だったりもしますし、このような状況に街も困り果てていました。
そこで名乗りを上げたのが、
アムステルダムでレンタル自転車サービスを展開するYellow Bikeです。
彼らはそんな街や観光客のニーズを汲み取り、
あるひとつのアイデアを考え、実行したのでした。
その名も、「Yellow Backie」。
市民の自転車の荷台を、黄色いイスに無償で差し替えるという
いたってシンプルな試みでした。
これいったい何の意味があるの?と思われると思うのですが、
アムステルダムでは自転車の荷台に友達を乗せる習慣があり、
それをYellow Backieと呼ぶのだそうです。
まさにこんな感じで。
その習慣を大々的に告知し、街を行き交う自転車を、
観光客にとってのタクシーに変えてしまったというわけですね。
街で手を挙げれば、自転車にヒッチハイクができる。
そうすることで、街の自転車の数は不用意に増やす必要も無くなりました。
観光客は荷台に乗って、文字通り市民目線で街を楽しむ事ができます。
また、市民と観光客がこの黄色いイスをきっかけに仲良くなり、
国と国をつなぐ、友好の象徴にもなったようです。
まさに一挙両得なこのアイデア。
ふたつの課題をひとつのソリューションで解決する。
誰も損する人がいない、実に素晴らしいアイデアだと思いました。
ぜひビデオもご覧になってみてください。