ペルーのガン財団による、”囚人”を起用した画期的過ぎる募金アプローチ
ペルーでは、ガンに苦しむ子供たちを救うための財団があります。
毎年子どもたちへの募金を募る、
「PONLE CORAZON」というキャンペーンがあるのですが、
ここ3年は目標額に達成できず、悩んでいました。
そこで白羽の矢が立ったのが、なんと
ペルーで一番危険と言われる囚人たちのいる
「CASTRO CASTRO PENITENCIARY」という刑務所でした。
凶悪な犯罪者として収監されている囚人たちにも、
きっと優しい心があるはず。
そんな彼らの深層心理をうまく募金活動に繋げられないか、
という奇想天外な発想から、
前代未聞のコミュニケーションが企画されました。
真剣に話に聞き入る囚人たち。
社会から隔離されてしまった彼らには、
なにか社会に対して恩返しをしたいという気持ちがあるはずで、
その善の心がこのプロジェクトにエネルギーを注いでくれるはず。
囚人たちには、一人につきひとつずつ、募金の缶が手渡され、
刑務所内で募金活動が始まりました。
「誰かが自分のことを信じてくれるなんて、考えたこともなかった。」
「私たちの強さを感じるよ。」
「刑務所から子供たちへハートを届けよう。」
次々と発せられるポジティブな言葉は、
今まで刑務所では決して聞こえてこなかった、
とても人間らしい言葉でした。
結果、52個の缶が募金で埋まり、
382個のハンドメイドなプレゼントが集まりました。
その様子は、ペルーの多くのメディアで放送され、
国中にその出来事が広まりました。
また、囚人たちの勇敢な活動に感化された多くの一般市民たちが
心を動かされ、財団への募金額は過去最高の数値を記録したようです。
「自分が社会の役に立てていると感じることができた。」
「私たちは、落ちぶれても”人間”なのだということを認識できた。」
募金が数多く集まったことも大変すばらしいことなのですが、
囚人という、ある種、社会的弱者とも呼ばれる人たちに手を差し伸べ、
更生するための機会を提供した当キャンペーンは、
大変社会的意義が大きいと感じました。
良いコミュニケーションは、
当事者(広告主)だけでなく、周りや社会にも
良い影響を与えられる、Win-Winな構造のものを言うのかもしれませんね。