切手の代わりに、キスを贈ろう。オランダのバレンタインに手紙を増大させた、ロマンチックなアイデア
- Company: PostNl
- Agency: Joe Public
- Country: Netherlands
どこに国もデジタル世代の”手紙離れ”が、深刻な問題のようです。
オランダの郵便局であるPostNlがバレンタインに行った、
若者向けのコミュニケーションがとても秀逸でしたのでご紹介します。
課題は、「メール世代のターゲットたちと、手紙を使ってどうReconnectできるか」。
リアルな手紙って、書くのも面倒ですけど、
何より切手を買って貼るのが一番面倒だったりします。
そんなインサイトを見透かすようにして、考えられたのがこちら。
なんと、切手欄にキスマークを押させ、
それを切手代わりにしてしまおうという、超斬新なアイデア。
面白半分な人も多数いると思いますが、
わずか10,000ユーロの低予算ながら、
多数メディアに取り上げられたのはもちろん、
昨対比283%という圧倒的な結果となって表れました。
ちなみに切手をつけて応募した人も、40%upしたそうです。
こちらの施策に引っ張られてスコアが上がったとしたら素晴らしいですよね。
手紙を送る、気持ちを送るという本質的価値をさらに高めつつ、
切手無しで送れるというハードルを下げたところ。
この2点の両立が企画としてミソなのかなと思ったりします。
やはり効果効能だけでなく、そのアイデアの持つ、佇まいやトーン。
結局人が魅力を感じられるか否かは、理屈じゃなかったりする。
そんなところまで計算して、企画してみたいものです。
いかなる用途にもお答えする、デンマークのレンタカーサービスのCMが面白すぎる
- Company: Lej Et Lig
- Agency: T Reklame, Hellerup
- Country: Denmark
今更ですがあけましておめでとうございます。
忙しさにかまけて久々の更新です・・・
今年も世界のすばらしいアイデアを
皆さんと共有していきたいと思います。
新年一発目は、シンプルに笑える
デンマークのレンタカー会社のCMをご紹介します。
国で一番リーズナブルと言われる
レンタカーサービス「Lej Et Lig」。
この会社は、
”いかなる用途のお客様にもがっかりさせない”を
モットーとしています。
ということは、”どんな使い方だって許される”。
そんな裏返しの表現で、「おいおいそりゃまずいだろ」という
使い方を提案する、2本のCMを制作しました。
まず1本目がコチラ。
なにやらシリアスな表情のおじさん。
ん・・・?
どう見ても除染作業かなんかし終わった後のような感じ。
そしてまじめな顔して鍵を返却。
続いて2本目。
今度は窃盗団!?
強盗するときも使ってね、なんていうメッセージが言いたいわけじゃないのは
百も承知ですが、お客様のいかなる利用にもがっかりさせない、
そんなレンタカーサービスの、意地を感じるCMなのでした。
日本だとクレームを気にしてまず絶対放送できないと思うのですが、
最終的に笑えるんだからええやないの、と思ったりもします。
というわけで、今年も宜しくお願いします。
マクドナルドはチキン(臆病者)!? 米バーガーキングによる過激な休戦協定プロモーション
- Company: Burger King
- Agency: Unknown
- Country: USA
独特のプロモーションに定評がある、
プロモーションが話題になっています。
8/26にバーガーキングが、
自身のYouTubeチャンネルにUPしたこの動画は、
同社最大のライバル、マクドナルドに向けたものでした。
その内容は、国際平和デーを機に、
ハンバーガー戦争をもう終わりにしませんか?というメッセージ、
両社のコラボ商品として
「McWhopper」を作らないかと
具体的な提案を持ちかけたのでした。
「マック」と「ワッパー」という言葉は、両社のアイコンのようなもの。
お互い歩み寄って、最高のコラボバーガーを作ろうという
ライバル企業同士の前代未聞の提案。それは詳細まで練られていました。
コラボ店舗の所在地は、
両社の本社の中間をとったアトランタ。
パッケージはお互いのカラーをはんぶんこした、こんな感じ。
ユニフォームも同様です。
さぁ、バーガー戦争を終わらせよう!
鼻息荒く提案を持ちかけたバーガーキング。
気になるのは、その反応ですよね。
マクドナルドがこの提案を受けて、
どのような反応を示したかというと・・・
その答えは・・・
残念ながら「No」でした。
マックCEOのSteve氏から届いた返事を要約すると次の通り。
---
素晴らしいアイデアをありがとう。
もっと大きな規模で、世界に変化を起こしませんか?
今ある友好的な競争は、
決して戦争の痛みや苦しみとイコールではありませんよ。
---
やんわりと、遠回しに断っているのが分かると思います。
うーん、なんとも不完全燃焼な結末なのですが、
実はこの両社のやりとりを見た、
全くの第三者からバーガーキングに向けて
オファーが相次いでいるようです。
hey @burgerking …or the Whoppaslam©? The Slopper©? The Slamopper©? wouldn't that be whopperslamalicious?! https://t.co/t1FACtBhgv
— Denny's (@DennysDiner) August 29, 2015
Denny's
「やぁバーガーキング、私とワッパーつくらないか?」
Hey @BurgerKing, let’s settle this Brazilian style. #PeaceDay #McWhopperProposal pic.twitter.com/gKpAsIIjhV
— Giraffas USA (@GiraffasUSA) August 27, 2015
Giraffas
「マックがチキンになっているなら、
私とブラジリアンスタイルのワッパーをつくろうよ」
We have a #SteamyProposal for @BurgerKing. A new way to #SettleTheBeef for #PeaceDay. Accept, your royal Burger-ness? pic.twitter.com/ZhppAGsKqC
— Krystal (@Krystal) August 26, 2015
Krystal
「私たちには提案がある。受け止めてくれませんか?」
さすがアメリカ、とも言うべきでしょうか。
数々の有名飲食チェーンが次々と名乗りを上げてきました。
それに対してバーガーキングも次のようにTweetしています。
It looks like we’re going to need a bigger table. #PeaceDayBurger http://t.co/g5wGTMgRgz pic.twitter.com/UmdjHkibTA
— Burger King (@BurgerKing) September 1, 2015
Burger King
「私たちは、会議の場を設ける必要がありそうですね。」
なんともやる気満々なバーガーキング。
この行く末は一体どうなるのでしょうか?
また日を待って、ご報告したいと思います。
どこまでが本当にバーガーキングが
意図したものなのか分かりかねますが、
ソーシャルメディアのライブ感を駆使し、
非常にうまくコミュニケーションをしていると思います。
大企業になればなるほど難しい、ソーシャルメディアの活用方法。
事の発端者となっているバーガーキングもさることながら、
それに後追いしたDenny'sなどの各社の英断には
「あっぱれ」という感じがします。
縦割りが厳しく、何をするにも承認を得る必要のある
日本企業にとっては、このようなチャンスにも
二の足を踏むことが多くなりがちでしょう。
アメリカのソーシャルメディアで繰り広げられている
生きたコミュニケーションからは、
多いに学ぶことがあるのではないでしょうか。
ペルー・マクドナルドによる、”大人の為”のこどもの日キャンペーンが微笑ましい
- Company: McDonald's
- Agency: Tribal 121, Lima, Peru
- Country: Peru
こどもも大好きなマクドナルド。
8月の第3日曜日「こどもの日」に、ペルーで行われた
”大人向け”のこどもの日キャンペーンが
とても素敵だったのでご紹介させて頂きます。
「すっかり身も心も大人になったお客さんたちが、
童心を取り戻せるような経験をしてもらえないだろうか?」
そんな考えの下、実行されたのが
この「Speak like a Child」キャンペーンです。
文字通り、「子供のような話し声で注文をしてみよう!」
というシンプルな企画なのですが、
一体どうやってそれを実現したのかというと・・・
上記のように特殊なマイクとアンプをセットし、
それを用いてリアルタイムに声色を変化させるという
仕組みになっていました。
機会を通して会話すると、異常なぐらいハイトーンボイスで、
まるで子供が話しているような印象に!
その声を聴いたお客さんは、
顔と声のギャップにやられて、思わず笑顔がこぼれます。
マイクを貸してあげるからみんなもどうぞ!
ということで、お客さんも子供のようなハイトーンで注文を行いました。
店内がとってもにぎわっていていい感じです。
参加してくれた人には、子供に大人気の
「マックフルーリー」がもれなくプレゼントされたようです。
なかなか照れくさいコミュニケーションですが、
参加した人も、それを見た人もほっこりしてしまいますね。
子供の頃からなじみのあるマクドナルドだからこそ、
たまには童心に帰りたくなる、帰る意味がある、
腑に落ちる、とても素敵なコミュニケーションだと思いました。
↓実際の映像を見て頂くと、滑稽な感じがよく伝わると思います。
献血でチケットがもらえる、ルーマニアの”ドラキュラ”フェス
- Company: Romania's National Institute for Blood Transfusions
- Agency: McCann Bucharest
- Country: Romania
ルーマニアで毎年開催される音楽フェス「Untold Festival」。
開催地であるトランシルヴァニアという地域は、
あの吸血鬼、ドラキュラのホームタウンとして有名なんだそうです。
David GuettaやAviciiなど、世界的なアーティストも数多く参加する
国民の注目度も高いこのイベントに、ルーマニアの血液センターが目を付け、
行われているキャンペーンをご紹介したいと思います。
これが、キャンペーンのポスターです。
---
Not only vampires need blood.
血液が必要なのは吸血鬼だけではない。
---
もうお分かりですかね?
ドラキュラのふるさととして名高い、トランシルヴァニアで
行われるそのフェスティバルであることにかけて、
献血を促すポスターを作ったのでした。
これだけでも十分面白いのですが、
ルーマニアの首都ブカレストでは、献血を行うとフェスティバルの
フリーチケットがもらえるキャラバンを展開したようです。
ルーマニアはヨーロッパの中でもぶっちぎりで献血者数が少なく(約1.7%)、
さらにその内の若者の数はわずか全体の約14%と、
献血に対する理解や行動が少ないことが社会問題になっていたようです。
「献血を通じて、フェスに参加する」という
非常にシンプルな”人参ぶらさげ構造”ですが、
ドラキュラのホームタウンで開催されるフェスにかけた、
というところがストーリーとして素晴らしく、
シェアラブルなキャンペーンだと思いました。
最高気温を記録するとマックフルーリーが無料に!?マクドナルドの仰天ビルボード
- Company: McDonald's
- Agency: TBWA/Neboko
- Country: Netherlands
場所はオランダの首都、アムステルダムのど真ん中。
2015年7月4日、最高気温を記録するかもしれない炎天下の日に、
ビルボードの中には、暑いの日のクールダウンにぴったりな
アイスフロートのようなデザート、”マックフルーリー”の
空カップが100個ぎっしり積みこまれています。
そして、そのボードには
「過去の最高気温38.6度を超えれば、自動的に開きます」と書かれています。
なんて夢のある企画なのでしょう!
気温次第で、無料でデザートがもらえてしまうというわけです。
ボードには温度計が仕込まれており、広場に集まった人たちは
最高気温に到達するその瞬間を、まだかまだかと待ちわびている様子。
そしてついに、気温は38.6度に到達!!
ビルボードの扉がオープンし、その場に押し寄せた人々が
マックフルーリーの空カップを勢い良く手に取ります。
ものの数分で、ビルボードのカップは無くなってしまったようです。
空カップを最寄りのマクドナルドに持ち込むと、
無料でマックフルーリーをもらえる仕組みに。
店から出てきたお客さんのこの表情。
とてもご満悦のようです。
たかだか(といったら失礼ですが・・・)数百円程度のマックフルーリー。
無料でサンプリングするのはなんら珍しいことでもないのですが、
このように”最高気温記録時”という絶妙なモーメントを捉え、
且つエンターテインメントとして昇華することで、
とても魅力的なプロモーションに仕上がっていると思いました。
アナログな中にテクノロジーを組み込むとで、全く新しい体験価値を生み出す、
そんなことの重要性に気づける事例なのでした。
カンヌ2015まとめ①〜個人的回顧録〜
今年もカンヌの季節がやってきました。
個人的には、毎年悔しい思いをするこの時期なのですが、
日々タイムラインにあがって来るカンヌ情報に触れるたびに、
改めてカンヌが持つ広告界への影響力の大きさを感じる次第です。
さて、今回は当ブログ初の試みですが、
カンヌのグランプリ作品を中心に、
個人的に気になったものをバーッと取り上げちゃおうと思います。
雑で恐縮ですが、カンヌ作品を一覧で眺めたい人は必見!
今回はその第1弾です。ぜひご覧ください。
●Promo&Activation
-Grand Prix
Volvo UK / Lifepaint
毎年19,000件程度の自転車を巻き込んだ交通事故があるというイギリス。
そこで、ボルボが開発したのが「Lifepaint」と呼ばれる、光を反射するスプレーです。
想像以上の反響で、世界展開も視野に入れているとのこと。
もはや広告ではありません。完全にプロダクトを開発したという事例です。
●Mobile
-Grand Prix
Google / Cardboard
段ボールで出来た折りたたみ式のVR体験セット。
iPhoneなどのスマホを挟む込むと、まるでヘッドマウントディスプレイに。
もはや広告でもなんでもなく、”発明”ですよね。これ。
お手軽さも相まって、デベロッパーに好まれ、
600以上の専用アプリも開発されたようです。
●Direct
-Grand Prix
VOLVO / INTERCEPTION
全米が注目するスーパーボウル。
ここにSPOTを投下すると注目度は抜群ですが、その分、
超高額なメディアフィーを払わねばならないのは周知の事実です。
大会のオフィシャルスポンサーでもないVOLVOが行った施策は、
実にユニークなものでした。事前のCMの中で、VOLVOは
「新型のXC60をあげたいのは誰ですか?」と問いかけます。
このキャンペーンの応募方法は、スーパーボウルで流される競合他社の
CMのタイミングに、ハッシュタグ「#VOLVOCONTEST」をつけてTweetすること。
その中から、当選した人には本当に車が送られるという企画になっていました。
他社のCMを、まさにInterception(横取り)してしまう、
エポックメーキングなキャンペーンになっていたというわけです。
これでどの程度の参加があったかは定かではないのですが、
いかにもアメリカらしい、ユニークな仕事ですよね。
-Gold
MARC DORCEL / Hands Off
この作品はゴールドなのですが、
ヨーロッパで人気のポルノビデオサイト「MARC DORCEL」が行った
無料キャンペーンがあまりに秀逸だったので、ご紹介します。
「Hands Off(手を触れるな)」というキャンペーン名どおり、
無料で見せるけど、手は使わないでね、という何とも下世話なアイデア。
映像を見るには、両手を使って指定されたアルファベットを押し続けないといけません。
つまり、完全に手が離せないので、肝心なコトもできないという訳です。
なんともアホらしいのですが、アホな男の習性を熟知した、
玄人の仕事と言えるでしょう。
※ビデオは、周りに注意して視聴環境を整えてからご覧ください。