イタリアのエアラインによる、世界にひとつだけの”自分専用”機内誌
- Company: TAM Airlines
- Agency: FCB, Millan
- Country: Italy
イタリアのTAM Airlinesが、
顧客満足度向上のためにてこ入れした
機内誌改善施策をご紹介いたします。
調査によると、そもそも機内誌に何が書かれていたかを覚えている人は11%以下、
更に飛行時間の3%しか読んでいないということが分かりました。
そんな注目度の低い機内誌を、どうすれば
乗客にとって魅力的なものに変えられるでしょうか?
そんなお題のもとで誕生したのが、
この「OWNBOARD MAGAZINE」です。
なんとこの機内誌、
表紙のひとつひとつに乗客の顔写真が印刷されています。
一体これどうやっていると思いますか?
その秘密は、ここにあります。
チケット購入時にFacebookアカウントを読み込ませることで、
TAM AIrlines側に乗客の情報を、事前にインプットさせる
仕組みになっていたというわけです。
その結果、エアライン側は搭乗予定の顧客の趣味志向から、
好きなものや場所、友達までをも割り出すことが可能となりました。
表紙だけではなく、雑誌の中身まで
お客さん一人ひとりにあった内容にカスタマイズされていたようです。
例えば猫を飼っているイザベラさんの雑誌には、
「こんな猫もお好きでしょ?」ということで、
いろんな猫のグラビア写真が入ったページが用意されていました。
機内に座り、雑誌を見つけたお客さんの反応はこの通り。
自分専用の機内誌に興味津々のご様子です。
その結果、100%の乗客が機内誌を持ち帰り、
閲読時間も1,200%という、とてつもない成果を得たようです。
この雑誌を一体どれぐらいの部数作ったのかは謎ですが、
お客さんにとっては、きっと想い出に残る
ステキな経験となったに違いありません。
魅力が低下したメディアも、アイデア次第では再び輝くことが出来る。
そんなことに気づかせてくれた、好事例をご紹介させて頂きました。
しつこいリターゲティングバナーを便利なモノに変えた、Post-itの素晴らしいアイデア
- Company: Post-it
- Agency: Proximity Russia, Moscow
- Country: Russia
最近ネットサーフィンをしていると、
やたらしつこく”リターゲティングバナー”が
表示されることが多くなったと思います。
どこもかしこもこのシステムを導入し、
ユーザー的には便利なようでしつこくつきまとわれる
気持ち悪さのようなものがありました。
そんな(嫌われモノの?)リターゲティングバナーを、
素敵なモノに変えた、Post-itの素晴らしいアイデアをご紹介します。
なんとこれ、
WEB上に直接貼り付けられる”Post-itバナー”になっています。
公式サイトを訪れ、自分のto doなど
リマインドが必要なメモを書き込むと・・・
COOKIEを照らし合わせ、
以降表示されるすべてのリターゲティングバナーを
Online Post-itに変えてしまうという優れものなのです。
その結果、どこを訪れても
自分でメモしたPost-itがついてまわります。
何度も何度もしつこく勧誘してきたあのリターゲティングバナーが、
アイデアひとつで、あっという間に便利なしろものに様変わり。
言わずもがなですが、
Post-itの本質的な商品価値である「リマインドすること」を、
WEB上で体現したこのコミュニケーションは、
ただユーザーにとって便利なだけにとどまらず、
しっかりブランディングに帰結している点が素晴らしいと思いました。
世界初!Poweradeによるエクササイズできるビルボード広告
- Company: Powerade
- Agency: Ogilvy & Mather, Berlin
- Country: Germany
Poweradeと言えば、
日本ではそこまでなじみ深い飲み物ではないですが、
掛け合わせた機能性飲料のこと。
そんなPoweradeがドイツ・ベルリンで行った、
ビルボード施策がとてもユーモラスなのでご紹介します。
その名も「Workout Billbooards」
文字通り、エクササイズができる屋外広告です。
例えばこれ。
ベルトコンベアのように縦に壁が動き、
無限にクライミングできる広告になっています。
これは、背筋を鍛えるマシン風の広告。
重さももしかしたら選べるのもやもしれません。
そして、これはパンチングマシーン。
この中央の的を思いっきりパンチすると、
その威力を左側のゲージがカウントしてくれる仕組みになっています。
エクササイズに参加すると、
その場でスタッフからパワーエイドを渡され、
みなさんニコリとこの笑顔。
道行く人が集まって、とっても盛り上がっているご様子。
なんだか凄く楽しそうです!
この広告が、恥ずかしがり屋の日本人に
向いているかどうかは置いておいて、
広告を作って事件を起こすという
「PR×Creative」の発想は、まさに世界的なトレンドと言えるでしょう。
少ない予算を効果的に話題拡散させる常套手段として、
今後もこの手の仕事は増えていくのではないでしょうか。
日本でも、こういう底抜けに楽しい広告に出会ってみたいし、
作ってみたいと思う、今日この頃でした。
ロシアの保険会社によるYouTubeを活用した”じらし広告”
- Company: Intouch
- Agency: BBDO, Russia
- Country: Russia
YouTubeのUIの特徴を生かした、
ロシアのアイデアフルな事例をご紹介します。
保険会社のIntouchがYouTubeにUPしたのは、
一見何の変哲も無い、車のダッシュボードに
取り付けたカメラによる10分間の映像。
先を行く一台の車を、
ひたすら追いかけるような映像がずっと続きます。
これだけ見ると、一体何の広告なのかさっぱりわかりません。
YouTubeを利用する際、何も起きない映像を
10分間もおとなしく見続ける人はおそらく皆無でしょう。
そこで映像を先送りしようとカーソルを動かすと・・・
実はここにアイデアが隠されていました!
サムネイル上に、
こちらに向かって突進して来る
トラックらしきものが映っています。
そのまま正面衝突したのちに表示された
「DON'T RUSH」というコピー。
そうです。一見ただのドライブ映像にも見えるこの作品には、
「車の運転もYouTubeでの鑑賞も、焦らずにお楽しみください」
という保険会社らしいメッセージが隠されていたのでした。
YouTubeを利用している時、
ついついせっかちになって映像を先送りしてしまう、
そんな人のインサイトをうまく捉えた、
まさにアイデア!という事例だと言えるでしょう。
ちなみに、このメッセージは
一体どのように表示されているのでしょうか?
映像をじっくり見返してみると、
5秒置きぐらいに、サブリミナル的に
1フレームだけ画像が差し込まれているのが分かります。
おそらくそれを重ねることで、
プログレスバーのサムネイル上にだけ
異なるメッセージを入れ込むことに成功したと思われます。
UIを知りつくしたからこそ辿り着く、素晴らしいアイデアですね。
実際の映像も、ぜひご覧になってみてください。
ポイ捨てゴミからDNAを読み取りサイネージに反映させた、効果絶大過ぎるOOH
- Company: Hong Kong Cleanup Initiative
- Agency: Ogilvy & Mather, Hong Kong
- Country: Hong Kong
社会現象化している、香港のゴミのポイ捨て問題。
どこの国でも置きがちなこの問題を、
鮮やかに解決した好事例をご紹介したいと思います。
それは、落ちているタバコやカップなどを拾うところから始まります。
その後、ゴミを介して人間のDNAを採取。
いったい何が始まると思いますか?
なんとそこから、最新のテクノロジーを駆使して、
ゴミをポイ捨てした名もなき人物の顔を特定。
忠実に犯人の顔をあぶりだすことに成功しました。
その後、検出された顔は、
街のあちこちに設置されたサイネージを介して
犯罪者のような出で立ちで、大々的に掲出されることに。
もしあなたがポイ捨ての犯人だとしたら、
これを見てどのような気持ちになるでしょうか?
「バレなきゃ、なにしたってよい。」
ポイ捨てしている多くの人のインサイトは、まさにこれでしょう。
しかし、このアイデアはそんな人間の弱い部分を
見事なまでに見透かした鮮やかさと強さがあり、
コミュニケーションとしても非常に効果的だと思いました。
今後、世界の広告賞を席巻していくことでしょう。
世界一人を幸せにする!? カールスバーグの屋外広告
- Company: Carlsberg
- Agency: Fold7, Mission Media
- Country: United Kingdom
今日はイギリスはロンドンから、
”世界一人を幸せにする”
カールスバーグの素敵な屋外広告をご紹介します。
「Probably the best poster in the world.」
おそらく、世界で最高のポスター。
自ら、そう銘打ったこの広告。
そのアイデアは至ってシンプルです。
なんと、自分でビールを注ぐことができる、
フリーサーブシステムになっています!
どこからグラスを持ってきたのか分からないのですが、
あっという間に長蛇の列。そりゃそうですよね。
ビールが自由に飲めるなんてまるで天国ですね。
見てください。この満足そうな、お客さんの笑みを。
ちなみに18歳の人が飲めないように、
しっかりモニタリングされていたようです。
酔っぱらいの人に事件を起こさせないためにも、
そういった有人監視はこの手の企画にはマストでしょうね。
「TV広告に依存しない広告の在り方を考えねばならない。」
「そのためにもこういった施策は必要。」というのが、
ブランドマネージャーのDharmesh Ranaさんの見解だそうです。
ここまで認知度も高い商品の場合、
いかに「経験的価値」をお客さんに提供出来るか、
それによってエンゲージメントを深められるかが課題だと思います。
単なるサンプリングよりも、よっぽど夢があり、
アイデアフルな事例だと思いました。
動く写真、”シネマグラフ”って知ってますか?
日々、新しい表現が開発され続けてる昨今、
アナログなのにどこか新しく感じる
動く写真”Cinemagraph(シネマグラフ)”という
表現フォーマットを皆さんご存知でしょうか。
こちらがシネマグラフで作られた作品の数々です。
どうですか?
なぜか見ていて不思議な印象を受けますよね。
静的なはずの写真に息吹が込められ、
動くもの以外は時が止まって見えてきます。
どこか神秘的でもあるこの写真、いや動画?こそが、
シネマグラフと呼ばれる、新しい表現として
今注目されているようです。
これらの一連の作品を手掛けているのは、
ニューヨーク在住のアーティスト、
Kevon Burgさんと写真家のJamie Beckさん。
グラフィックアーティストと写真家。
ふたりの個性が相まって、今まで誰も見たことが無い
不思議な表現が生まれたようです。
Gifという形式を活用しているため、
TwitterやTumblr、Facebookなど場所を選ばずに
シェアしやすいのもこのフォーマットの優れた点と言えるでしょう。
この作品を見た、
スーパーモデルのCoco Rochaはこう語っています。
「It's more than a photo but not quote a video.」
これは写真以上のもの。でも完全なるビデオでもない。
Stuart Weitzmanというファッションブランドは、
このアイデアに目を付け、自社のInstagramアカウントを活用して、
シネマグラフの作品を発表していることで話題になりました。
まだまだ日本には浸透していない、この新フォーマット。
ファッションはもちろんのこと、他の業種でも
十分に活用する可能性を秘めた面白い表現だと思います。
誰よりも先に、”シネマグラフ”を活用してみるのはいかがでしょうか?