車の中の環境を完全再現した、Fordの眠れすぎる”特性ゆりかご”
- Company: Ford
- Agency: Bassat Ogilvy & Mather, Madrid
- Country: Spain
車に乗っているときに感じられる、
心地よい揺れや規則的に差し込む街の光。
ついついまどろんでしまう方も多いのではないでしょうか。
世界的車メーカーのFordは、
そんな車独特の心地よさを全く違う用途に活用できないかと考えました。
その名も…
MAX Motor Dreams
です。
なんと、車メーカーがチャイルドシートならぬ、
特製”ゆりかご”を作っちゃいました。
このゆりかごの特徴は次の通り。
①かすかにエンジン音が聞こえます
②ゆるやかに揺れます
(まるで車に乗っているときのように)
③LEDで街の光を再現します
自宅にいながら、ほぼ車の中の環境を完全再現した
Ford特製のゆりかご。
アプリを使えば、自分の車の動きをトラッキングし、
そのままゆりかごの動きに反映されるという作り込み様です。
これ、子供の夜泣きに悩むご両親には、
とても助かる優れものなのではないでしょうか。
日本でも、日産がオートパーキング技術を
オフィスチェアに転用したIntelligent Prking Chairが話題になりましたが、
この事例も、考え方は一緒かもしれません。
ひとつのメーカーが、
自身の領域を超越して知見や技術を横展開した好事例だと思いました。
市場が飽和し、技術の進歩も一巡した今、
こういった流れはまだまだ続くのではないでしょうか。
ジューシーな肉の香りが溢れ出す!? バーガーキングのオリジナル歯磨き粉が登場
- Company: Burger King
- Agency: Buzzman, Paris
- Country: France
Buzzman Parisと言えば、その名の通り、
バズを生み出すコミュニケーションに定評がある会社なのですが、
彼らが実施したバーガーキングの施策は、
いつも話題を呼ぶことで有名です。
ちなみに昨年本ブログでも記事にした、
WHOPPER MOVEOUTや田舎道に設置された看板を巡る
マクドナルドへの応酬なども、記憶に新しいのではないでしょうか。
↓ご存知ではない方は、こちらの過去記事をご覧ください。
そんなBuzzmanが、またもバーガーキングと組んで
攻めた施策を実施しているようです。
その名も…
WHOPPER Toothpaste(ワッパーは磨き粉)!!
すっきりするのかしないのか分からない、
謎の歯磨き粉をこのたびリリースしたようです。
白いペーストは…ホワイトニング作用のあるオニオン。
赤いペーストは…一日フレッシュな香りを持続させるトマト。
茶色いペースは…虫歯予防のステーキ。
歯磨き粉のグラデーションが、
まるでワッパーの中身そのもので構成されており、
ジョークの割にはとてもよくできています。
ちなみにこの歯磨き粉、誰の為のものかというと…
ワッパーを愛してやまないこの男性。
ワッパーの香りを口にとどめたいがために、
2週間も歯磨きをしなかったそうです。(ウソだろ…)
それを見かねた奥さんは、
「わたしたちはもう終わりよ」と言って、家を去ってしまったんだとか…
それを知ったバーガーキングが、
ひとりの大切なファンのために歯磨き粉を開発した、という訳。
どこまで本当の話なのかは分からないのですが、
なんてばかばかしいエピソードなのでしょう。笑
歯磨き粉を手に入れた、ワッパーファンの男性は大喜び。
積極的に歯磨きをするようになったんだとか。
奥さんも無事に帰ってきました。
作り込みの妙で、説得力があります。
実はエイプリルフールのネタじゃないというところも、
ブランドの本気のユーモアを表していますよね。
個人的にはこういう企業のお遊び、大好きです。
世界最強のオールブラックスが、渋谷の女子高生にガチで体当たり!? AIGのリスクをとったWEB CMが素晴らしい
- Company: AIG
- Agency: TBWA\HAKUHODO
- Country: Japan
彼らがメインキャラクターを務める、同じく世界的に有名な保険会社AIG。
日本での認知向上を狙ったプロモーションの一環で、
WEBムービーがこのたび公開されたのですが、
その内容がとても素晴らしかったのでご紹介したいと思います。
突如、渋谷の街中に現れたオールブラックスのメンバー。
カラダが一般人と違いすぎて、明らかに浮いてます。
メンバー一同、とことこ渋谷の街に繰り出したのですが…
なんといきなり、
女子高生に体当たり…!!
度肝を抜かれる演出に、思わず目を疑います。
(注釈をここで入れざるを得ないほどの衝撃的な展開)
次は、自転車に乗ったお兄さんに体当たり。
ティッシュ配りの着ぐるみさえも、なぎ倒していきます。
一体ぜんたい何が起きているのか?
オールブラックスって、筋肉自慢のただの嫌なやつなの?
そんな勘違いさえも起きてしまう、リスクをとった思い切った演出。
しかし、もちろんこれで終わりではありません。
実はこれ、無作為に一般人を
攻撃していたのではなく、守っていたのです。
街に潜む様々な危険から、人々を守る。
まさにスーパーヒーローとしてオールブラックスが登場したというわけ。
最後のコピーも秀逸です。
「#TackleTheRisk」(リスクに体当たりせよ)
リスクに先回りする保険会社へ
保険と言えば、守りに入るもの。
攻めの姿勢でリスクに向き合い、そして体当たりしていく。
うまくメッセージに落ちていますよね。
ノンバーバルで分かるし、テンポもよいし、
世界中の人に理解してもらえる、
素晴らしいムービーになっていると思いました。
自慢の”セクシー広告”を廃止。ブラジルのビールブランドが提唱する新時代の女性像
- Company: Ambev
- Agency: F/Nazca Saatchi & Saatchi
- Country: Brazil
ビールと言えば世界共通で、
美女のセクシー広告が用いられがち。
ブラジルのビールブランドSKOLもご多分に漏れず、
お尻丸出しのセクシー美女を起用した広告を展開していました。
しかし、時代も変わり、
女性をセクシャルなモノとしてとらえたような広告に対して、
世の中の価値観とギャップが生まれてきました。
「男性のみならず、女性にも飲んでほしい。
男女関係なく、愛されるブランドに。」
そう考えたSKOLは、自身の広告を大胆に改革することにしました。
その名も…
「Reposter」プロジェクトです。
とある6人の女性アーティストを起用し、
元のセクシー広告をイラストの力で生まれ変わらせることに。
これがその過程です。
どうでしょう?
見る見るセクシー美女が、オシャレなポスターに変身していきます。
「ビールをサーブする女性の写真は、
ビールを楽しむ女性のイラストに。
女性を”奉仕する人”というポジションから変えたかった。」
と、イラストを描いたひとりであるArrudaさんは語っています。
男性が見て楽しむだけのモノとしての女性像を打ち消し、
新時代の女性の在り方を提唱する、
非常に社会性に富んだ、意義ある試みだと言えるでしょう。
現代人のタイピカルな価値観を揺るがす、
素晴らしいチャレンジだと思いました。
プロジェクトの全容が分かるビデオはこちらです。
是非、あわせてご覧ください。
米ドラマ「マッドメン」に登場する”50年前のプレゼン”を採用した、ハインツの英断過ぎる広告
- Company: Heinz
- Agency: Sterling Cooper Draper Pryce and DAVID the Agency , New York
- Country: USA
『マッドメン』と言えば、言わずと知れた
米国の1960年代の広告業界をテーマにしたドラマですが、
その作品中に登場するあるアイデアが、
実際にハインツによって採用されたようです。
ちなみに、これがそのプレゼンシーン。
ハインツの製品であるケチャップが登場しないとても斬新な広告で、
ポテトフライやハンバーガーの
シズル感たっぷりの写真の上に入れられた
コピーは、
「PASS THE HEINZ.」(ハインツをくれ。)
だけです。
ドラマの中では、競合するPeggy Olson社が
もっとプロダクトセントリックなアイデアでピッチを制したため、
この広告は採用されなかったというストーリーになっていました。
ところが…50年経った今。
なんとハインツ社が実際にこの広告を採用した、というのです。
ほぼドラマの中に登場する広告と一緒です。
ニューヨークの屋外広告として、掲出されているようです。
50年前の、しかもドラマの中に登場する広告を採用するなんて
ハインツ社のユーモア溢れる決断は、まさに英断ですよね。
ちなみに本当の仕掛人は、同じくニューヨークにオフィスを構える
DAVID the Agencyなのですが、制作者のクレジットを見ると、
「Sterling Cooper Draper Pryce and DAVID the Agency」となっており、
協業したという設定になっています。
ちなみにこれは、David社のCCOのコメントです。
「ドンはよくやってくれた。
美しいフライドポテトやハンバーガーの写真を見てください。
何かがそこには欠けている。わざわざそれが何かを見せなくても、
あなたは気づくことでしょう。」
Anselmo Ramos, CCO at David
なんて洒落の効いた人なのでしょうか。
クライアントも凄ければ、エージェンシーも凄い。
エイプリルフールのネタのようなアイデアを、本当にやってのける。
クライアントとエージェンシーの良好な関係性があるからこそできる、
素晴らしい仕事だと思いました。
映画「KONG」をPRする、突如ロサンゼルスに現れた巨大な足跡広告
- Company: Warner Bros. Entertainment
- Agency: Grandesign, New York
- Country: USA
映画「KONG: Skull Island」の公開を前に、
ロサンゼルスのあちこちに”キングコングの足跡”が出現する
というスケール大な広告が展開されているようです。
こちらがロサンゼルスのビーチに現れた、その足跡の様子。
人の大きさと比較して、スケールの大きさが伝わってくるかと思います。
何よりクオリティも高いですよね。
そして次が、
とあるロサンゼルス市内の駐車場。
繁華街の中にある広場。
都市部になると、地面に穴を開けられないためか、
錯視ステッカーを使っただけで、クオリティーがイマイチなのはご愛嬌ですが…
続いて、街を見下ろす谷。
これはいい感じですよね。映画のワンシーンみたいです。
観光名所としておなじみの、ハリウッドにも現れたようです。
試みとしてはシンプルでいて、とても強いと感じます。
モノとしてのリーチ効率は低くても、PR効果は絶大ですよね。
(なんてったって、遠く離れた日本でもこうやって記事化されてるのですから)
KONGのような実在しない生物を、
あたかも実在しているかのように現実世界に持ち込むと、
作品の世界観を瞬時に感じられますし、映画の宣伝において
「現実化」というアプローチは極めて有効だと思います。
日本だとどこまでできるのだろう、と余計な心配をしてしまいますが、
非常にアメリカらしいユニークな施策なのでした。
国際女性デーに、NYの象徴チャージング・ブル像の前に設置された”勇敢過ぎる少女像”
- Company: State Street Global Adivisors
- Agency: McCann, New York
- Country: USA
ニューヨークのブロード街に設置された、
獰猛すぎる雄牛の像、「チャージング・ブル」をご存知でしょうか?
金融用語で「ブル・マーケット」という言葉があり、
それは繁栄市況を指し、景気が良いという意味を持っています。
1989年に突然ゲリラアートとして設置されたこの像は、
少し場所は変わったものの、今も尚設置されており、
ニューヨークの金融業界のシンボルとして君臨し続けています。
そんな像の前に、国際女性デーの前日、
新たな像がゲリラ的に設置されたと話題になっています。
それがこの「勇敢すぎる少女像」です。
獰猛な牛に立ち向かうべく、
仁王立ちをして、ぎろりと睨みつける少女像。
これはいったいだれの仕業なのかというと、
ニューヨークの金融会社State Street Global Advisorsによるものでした。
「企業の役員の中における女性比率の低さや、
特に金融業界での性別によるペイギャップなど、未だにはびこる女性差別。
国際女性デーを機にそういった問題への注目を集めたいと考えた」と
同社のアン・マクナリーさんは語っています。
一緒に仕掛けたのは、ニューヨークのMcCann。
国際女性デーというと世界中で様々な試みが行われますが、
非常にシンプルでいて、メッセージ性の強いこのアクションは、
世界中のニュースとなって、注目を集めているようです。
ちなみにこの像、ゲリラ設置という体裁をとっていますが、
ニューヨーク市にはしっかり許可を取ったとのこと。
どれだけの期間設置できるかは、これからの判断になるということです。
長く設置されることを切に願いたいと思います。