今度はおっぱいが歌う!2016年カンヌを席巻した「Man Boobs」の続編が公開
- Company: MACMA
- Agency: David, Buenos Aires
- Country: Argentina
アルゼンチンで、乳がんを撲滅する為に支援する団体MACMA 。
そして同じくアルゼンチンのエージェンシー、David。
彼らがタッグを組んで作った話題作「Man Boobs」が、
2016年の世界の広告業界を席巻したのは記憶に新しいと思います。
↓ちなみにこれです。おさらいまでに。
通常、ルールとしてソーシャルメディア上では
性的な画像を扱うことは規制されているので、
おっぱいを画像や動画で直接見せることができないのが一般的です。
そんな規制を軽やかに超えて、男性のおっぱいを用い、
乳がんのセルフ検診を強く訴えたものがこの「Man Boobs」でした。
そしてこのたび、あの「Man Boobs」を上回る…!?
衝撃の新作が発表されました。
その名も…
「EVERYBODY LOVES BOOBS.」
(みんなおっぱいが大好き)
それだけ聞くと普通に聞こえると思うのですが、
今度はおっぱいが…
歌います。
乳首の部分が口になっている、ちょっぴりグロテスクな
老若男女・国籍ばらばらのおっぱいシンガーたちが
華麗にコーラスを披露するという内容です。
もちろん、ただの出落ちじゃありません。
その歌詞の中には、こんな言葉が出てきます。
「みんなおっぱい好きだよねー」
「おっぱいって最高、メロンすら後ずさりしちゃう」
「そう、みんなおっぱいに恋してる」
「そんなことないよ…
唯一おっぱいのことを嫌いなやつもいるんだ」
「そう、それは”ガン”よ」
おっぱいをただ賛美する歌なのかと思いきや、
乳がんを煩った女性が、
「ガンだけがおっぱいを嫌っている」と歌い始めます。
「9人に1人は乳がんを患う可能性がある。
だからこそ、きちんと検診を受けなければいけない。」
「そんな危険から私たちを救って」
最後には、MACMAへのドネートが促されます。
「おっぱいが大好きなあなたへ。
身の回りの大切な人を守る為に、寄付しよう。 」
そんなメッセージが込められた、一見ファニーなムービーなのですが、
最終的にはとても考えさせられる仕上りになっています。
今年もMACMAがカンヌを席巻するのでしょうか。
これからの世界の反響がとても楽しみな作品だと思いました。
車の中の環境を完全再現した、Fordの眠れすぎる”特性ゆりかご”
- Company: Ford
- Agency: Bassat Ogilvy & Mather, Madrid
- Country: Spain
車に乗っているときに感じられる、
心地よい揺れや規則的に差し込む街の光。
ついついまどろんでしまう方も多いのではないでしょうか。
世界的車メーカーのFordは、
そんな車独特の心地よさを全く違う用途に活用できないかと考えました。
その名も…
MAX Motor Dreams
です。
なんと、車メーカーがチャイルドシートならぬ、
特製”ゆりかご”を作っちゃいました。
このゆりかごの特徴は次の通り。
①かすかにエンジン音が聞こえます
②ゆるやかに揺れます
(まるで車に乗っているときのように)
③LEDで街の光を再現します
自宅にいながら、ほぼ車の中の環境を完全再現した
Ford特製のゆりかご。
アプリを使えば、自分の車の動きをトラッキングし、
そのままゆりかごの動きに反映されるという作り込み様です。
これ、子供の夜泣きに悩むご両親には、
とても助かる優れものなのではないでしょうか。
日本でも、日産がオートパーキング技術を
オフィスチェアに転用したIntelligent Prking Chairが話題になりましたが、
この事例も、考え方は一緒かもしれません。
ひとつのメーカーが、
自身の領域を超越して知見や技術を横展開した好事例だと思いました。
市場が飽和し、技術の進歩も一巡した今、
こういった流れはまだまだ続くのではないでしょうか。
ジューシーな肉の香りが溢れ出す!? バーガーキングのオリジナル歯磨き粉が登場
- Company: Burger King
- Agency: Buzzman, Paris
- Country: France
Buzzman Parisと言えば、その名の通り、
バズを生み出すコミュニケーションに定評がある会社なのですが、
彼らが実施したバーガーキングの施策は、
いつも話題を呼ぶことで有名です。
ちなみに昨年本ブログでも記事にした、
WHOPPER MOVEOUTや田舎道に設置された看板を巡る
マクドナルドへの応酬なども、記憶に新しいのではないでしょうか。
↓ご存知ではない方は、こちらの過去記事をご覧ください。
そんなBuzzmanが、またもバーガーキングと組んで
攻めた施策を実施しているようです。
その名も…
WHOPPER Toothpaste(ワッパーは磨き粉)!!
すっきりするのかしないのか分からない、
謎の歯磨き粉をこのたびリリースしたようです。
白いペーストは…ホワイトニング作用のあるオニオン。
赤いペーストは…一日フレッシュな香りを持続させるトマト。
茶色いペースは…虫歯予防のステーキ。
歯磨き粉のグラデーションが、
まるでワッパーの中身そのもので構成されており、
ジョークの割にはとてもよくできています。
ちなみにこの歯磨き粉、誰の為のものかというと…
ワッパーを愛してやまないこの男性。
ワッパーの香りを口にとどめたいがために、
2週間も歯磨きをしなかったそうです。(ウソだろ…)
それを見かねた奥さんは、
「わたしたちはもう終わりよ」と言って、家を去ってしまったんだとか…
それを知ったバーガーキングが、
ひとりの大切なファンのために歯磨き粉を開発した、という訳。
どこまで本当の話なのかは分からないのですが、
なんてばかばかしいエピソードなのでしょう。笑
歯磨き粉を手に入れた、ワッパーファンの男性は大喜び。
積極的に歯磨きをするようになったんだとか。
奥さんも無事に帰ってきました。
作り込みの妙で、説得力があります。
実はエイプリルフールのネタじゃないというところも、
ブランドの本気のユーモアを表していますよね。
個人的にはこういう企業のお遊び、大好きです。
世界最強のオールブラックスが、渋谷の女子高生にガチで体当たり!? AIGのリスクをとったWEB CMが素晴らしい
- Company: AIG
- Agency: TBWA\HAKUHODO
- Country: Japan
彼らがメインキャラクターを務める、同じく世界的に有名な保険会社AIG。
日本での認知向上を狙ったプロモーションの一環で、
WEBムービーがこのたび公開されたのですが、
その内容がとても素晴らしかったのでご紹介したいと思います。
突如、渋谷の街中に現れたオールブラックスのメンバー。
カラダが一般人と違いすぎて、明らかに浮いてます。
メンバー一同、とことこ渋谷の街に繰り出したのですが…
なんといきなり、
女子高生に体当たり…!!
度肝を抜かれる演出に、思わず目を疑います。
(注釈をここで入れざるを得ないほどの衝撃的な展開)
次は、自転車に乗ったお兄さんに体当たり。
ティッシュ配りの着ぐるみさえも、なぎ倒していきます。
一体ぜんたい何が起きているのか?
オールブラックスって、筋肉自慢のただの嫌なやつなの?
そんな勘違いさえも起きてしまう、リスクをとった思い切った演出。
しかし、もちろんこれで終わりではありません。
実はこれ、無作為に一般人を
攻撃していたのではなく、守っていたのです。
街に潜む様々な危険から、人々を守る。
まさにスーパーヒーローとしてオールブラックスが登場したというわけ。
最後のコピーも秀逸です。
「#TackleTheRisk」(リスクに体当たりせよ)
リスクに先回りする保険会社へ
保険と言えば、守りに入るもの。
攻めの姿勢でリスクに向き合い、そして体当たりしていく。
うまくメッセージに落ちていますよね。
ノンバーバルで分かるし、テンポもよいし、
世界中の人に理解してもらえる、
素晴らしいムービーになっていると思いました。
自慢の”セクシー広告”を廃止。ブラジルのビールブランドが提唱する新時代の女性像
- Company: Ambev
- Agency: F/Nazca Saatchi & Saatchi
- Country: Brazil
ビールと言えば世界共通で、
美女のセクシー広告が用いられがち。
ブラジルのビールブランドSKOLもご多分に漏れず、
お尻丸出しのセクシー美女を起用した広告を展開していました。
しかし、時代も変わり、
女性をセクシャルなモノとしてとらえたような広告に対して、
世の中の価値観とギャップが生まれてきました。
「男性のみならず、女性にも飲んでほしい。
男女関係なく、愛されるブランドに。」
そう考えたSKOLは、自身の広告を大胆に改革することにしました。
その名も…
「Reposter」プロジェクトです。
とある6人の女性アーティストを起用し、
元のセクシー広告をイラストの力で生まれ変わらせることに。
これがその過程です。
どうでしょう?
見る見るセクシー美女が、オシャレなポスターに変身していきます。
「ビールをサーブする女性の写真は、
ビールを楽しむ女性のイラストに。
女性を”奉仕する人”というポジションから変えたかった。」
と、イラストを描いたひとりであるArrudaさんは語っています。
男性が見て楽しむだけのモノとしての女性像を打ち消し、
新時代の女性の在り方を提唱する、
非常に社会性に富んだ、意義ある試みだと言えるでしょう。
現代人のタイピカルな価値観を揺るがす、
素晴らしいチャレンジだと思いました。
プロジェクトの全容が分かるビデオはこちらです。
是非、あわせてご覧ください。
米ドラマ「マッドメン」に登場する”50年前のプレゼン”を採用した、ハインツの英断過ぎる広告
- Company: Heinz
- Agency: Sterling Cooper Draper Pryce and DAVID the Agency , New York
- Country: USA
『マッドメン』と言えば、言わずと知れた
米国の1960年代の広告業界をテーマにしたドラマですが、
その作品中に登場するあるアイデアが、
実際にハインツによって採用されたようです。
ちなみに、これがそのプレゼンシーン。
ハインツの製品であるケチャップが登場しないとても斬新な広告で、
ポテトフライやハンバーガーの
シズル感たっぷりの写真の上に入れられた
コピーは、
「PASS THE HEINZ.」(ハインツをくれ。)
だけです。
ドラマの中では、競合するPeggy Olson社が
もっとプロダクトセントリックなアイデアでピッチを制したため、
この広告は採用されなかったというストーリーになっていました。
ところが…50年経った今。
なんとハインツ社が実際にこの広告を採用した、というのです。
ほぼドラマの中に登場する広告と一緒です。
ニューヨークの屋外広告として、掲出されているようです。
50年前の、しかもドラマの中に登場する広告を採用するなんて
ハインツ社のユーモア溢れる決断は、まさに英断ですよね。
ちなみに本当の仕掛人は、同じくニューヨークにオフィスを構える
DAVID the Agencyなのですが、制作者のクレジットを見ると、
「Sterling Cooper Draper Pryce and DAVID the Agency」となっており、
協業したという設定になっています。
ちなみにこれは、David社のCCOのコメントです。
「ドンはよくやってくれた。
美しいフライドポテトやハンバーガーの写真を見てください。
何かがそこには欠けている。わざわざそれが何かを見せなくても、
あなたは気づくことでしょう。」
Anselmo Ramos, CCO at David
なんて洒落の効いた人なのでしょうか。
クライアントも凄ければ、エージェンシーも凄い。
エイプリルフールのネタのようなアイデアを、本当にやってのける。
クライアントとエージェンシーの良好な関係性があるからこそできる、
素晴らしい仕事だと思いました。
映画「KONG」をPRする、突如ロサンゼルスに現れた巨大な足跡広告
- Company: Warner Bros. Entertainment
- Agency: Grandesign, New York
- Country: USA
映画「KONG: Skull Island」の公開を前に、
ロサンゼルスのあちこちに”キングコングの足跡”が出現する
というスケール大な広告が展開されているようです。
こちらがロサンゼルスのビーチに現れた、その足跡の様子。
人の大きさと比較して、スケールの大きさが伝わってくるかと思います。
何よりクオリティも高いですよね。
そして次が、
とあるロサンゼルス市内の駐車場。
繁華街の中にある広場。
都市部になると、地面に穴を開けられないためか、
錯視ステッカーを使っただけで、クオリティーがイマイチなのはご愛嬌ですが…
続いて、街を見下ろす谷。
これはいい感じですよね。映画のワンシーンみたいです。
観光名所としておなじみの、ハリウッドにも現れたようです。
試みとしてはシンプルでいて、とても強いと感じます。
モノとしてのリーチ効率は低くても、PR効果は絶大ですよね。
(なんてったって、遠く離れた日本でもこうやって記事化されてるのですから)
KONGのような実在しない生物を、
あたかも実在しているかのように現実世界に持ち込むと、
作品の世界観を瞬時に感じられますし、映画の宣伝において
「現実化」というアプローチは極めて有効だと思います。
日本だとどこまでできるのだろう、と余計な心配をしてしまいますが、
非常にアメリカらしいユニークな施策なのでした。