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上海在住の広告クリエイターが、嫉妬に値する世界の広告やアイデアを長らく紹介し続けています。(2012年〜)

10代の少年がリツイート数世界一を更新!Wendy'sのチキンナゲット1年間無料を賭けたツイートが話題

  • Company: Wendy's
  • Agency: Nothing
  • Country: USA

 

突然ですが、

世界一有名なTweetと言えばこちらではないでしょうか。  

 

2014年のアカデミー賞で、Ellen DeGeneresさんによって撮影された、

世界一豪華なセルフィー。みなさんも見覚えがあるかと思います。

 

リツイート数は なんと340万回以上。

ネスレコードにも登録される名実ともに”世界一のTweet”でした。

 

このたび、その記録が約3年振りに更新されたというのです。

ハリウッドセレブ大集合の豪華すぎるTweetを上回る

つぶやきって一体全体どんなものなのか。

その発信者は大統領か、はたまた希代のポップスターか。

 

そのTweetの主は…

なんと、アメリカのどこにでもいる10代の少年でした。

 

こちらがそのTweetです。 

 

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チキンナゲットが欲しい人、手伝ってください。

by Carter Wilkerson

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なんとリツイート数は本日時点で、既に350万回を超えています。

これ、Twitterが始まって以来のとんでも無い数です。

しかし、この一見何の変哲もないTweetが

なぜそんなにもリツイートされているのでしょうか?

 

タイムラインを遡ってみると、どうやらCarter君がWendy'sに対して、

次のようにTweetしたことに端を発することがわかりました。

 

f:id:onaken:20170512075641p:plain

やぁWendy'sさん。どれぐらいリツイートを集めたら、

チキンナゲットを1年間無料にしてくれるんだい?

 

単なる挑発にも見えるこのツイート。

それにWendy'sは次のように返信しました。

 

f:id:onaken:20170513080320p:plain

 1,800万リツイート

 

軽くはぐらかすのかと思いきや、とんでもない数を少年に要求したのでした。

今までの世界のリツイート記録が約340万回ですから、

いかにこの数字が無謀なものなのかはご理解頂けるかと思います。

 

そのまま終わると思いきや、このツイートはあっという間に全米中に拡散され、

企業や有名人たちも相乗りし始める展開に。

#NuggsForCarter(ナゲットをカーター君に贈ろう)

というハッシュタグも生まれ、まるでお祭り状態になっています。

 

下記は、そのほんの一部。

 

 

「100万回達成?ショックです…」

 あまりの盛り上がりに驚きを隠せないWendy's。

 

 

そしてついに…

Carter君のツイートはリツイート数の世界記録を更新。 

 

Twitter公式も、この快挙を祝福。

 

とうとう、あのギネスにもその記録が認められました。

 

そして、前回の世界記録保持者である

Ellen DeGeneresさんともセルフィーをぱしゃり。

 

 

Wendy'sは、自社のナゲットで世界記録を打ち立ててくれた

Carter君に感謝の意を示すべく、彼の大好きな大量のナゲットと

DTFAという孤児を守るNPO団体に10万ドルを寄付することとなり、

この盛り上がりは一区切りとなったのでした。

 

何気ない一般ユーザーとの会話から始まった、今回のお祭り騒ぎ。

企業が発信したのは、たったひとつの”つぶやき”だけです。

しかし、SNS上のユーモラスな対応ひとつで、社会的ムーブメントを巻き起こし、

世の中と強くエンゲージメントすることができることを証明しました。

 

リスクヘッジばかりして、杓子定規になってしまいがちなSNS運用。

アメリカの企業はさすがというか、

このあたりの身のこなし方には国民性が顕著に現れる気がしています。

 

そもそも広告とSNSは、まず根本的にお作法が異なるはずです。

ついつい広告的な文脈の中にごちゃ混ぜして語ってしまいがちなSNS施策ですが、

この事例を糧に、日本でも素晴らしいショーケースを作りましょう。