IDEAFUL -ad from the world-

上海在住の広告クリエイターが、嫉妬に値する世界の広告やアイデアを長らく紹介し続けています。(2012年〜)

外出制限で店に行けないファンの為に、バーガーキングが秘密のレシピを公開!?

  • Company: Burger King
  • Agency: Buzzman
  • Country: France

 

コロナパンデミックによる外出制限で、

大きなダメージを負っているフランスの飲食業界。

 

お店をろくに開くこともできず、デリバリーも人手不足。

そんなビジネスの難しい状況下で、

いかにお客様や社会とコミュニケーションを図るべきか。

ハンバーガーチェーン大手のバーガーキングもまた、

企業判断が迫られていました。

 

3月30日、クリエーティブエージェンシーであるBuzzmanと結託し、

同社は突如、次のようなTweetを発信しました。

 

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これ、なんだかお分かりでしょうか?

 

なんとワッパーの原材料を並べたレシピ画像を投稿したのです。

(もちろん無料で!)

作る順番に材料が並べられており、

そのままスーパーなどで材料を購入すれば

自宅でワッパーもどきが楽しめてしまうというわけです。

 

こちらは動画付きで丁寧に教えてくれています。

 

 

その後、オリジナルワッパーのみならず、

フィッシュワッパーやステーキワッパーなど、

次々とレシピを惜しみなく公開していきました。

 

 

秘伝のレシピを公開してしまって大丈夫なのか?

と勝手に心配になってしまいますが、 

バーガーキングの最大の売りはフレームグリル。

フランスの一般的な家では炭火焼きをできる環境が無いので、

完全に同じ味を再現できるわけでは無いそうです。

つまり、かえって「本家の味を味わいたい」と

バーガーキングへの募る想いが強くなる仕掛けになっています。

 

同社らしいユーモアと大胆さを持って、

Tweet一つで話題を作り上げた”レシピ解禁”プロモーション。

どこもかしこも営業自粛が続く、世界的な不況の中で

ピンチをチャンスに変えることに成功した、

イデアフルな事例のご紹介でした。 

 

「私たちはまだ営業中です」コロナウィルスに負けじと営業を続ける、米マクドナルドのステートメント型広告

  • Company: McDonald's
  • Agency: Wieden & Kennedy
  • Country: USA

 

コロナウィルスの煽りを受けて、不況が続くアメリカの外食業界。

大手ハンバーガーチェーンのマクドナルドは、

ドライブスルーとデリバリーに限って営業を続けているようです。

 

同社は、クリエーティブエージェンシーである

Wieden & Kennedy社とタッグを組んで、

世の中の状況にクイックレスポンスする形で、

ステートメント型の広告を発表しました。

 

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「We'll Be Here」シリーズと名付けられたこのシンプルな広告は、

黄色や赤といったマクドナルドのキーカラーを用いて、

コピーだけで全編が構成されています。

 

We'll be taking your order un the Drive Thru at this time

私たちは、こんな時でもドライブスルーを通じてあなたからの注文を受けます

 

営業自粛や臨時休店が相次ぐ外食業界において、

お客様ファーストを貫き、毅然と営業を続ける

マクドナルドの意志を感じる広告になっています。

 

↓いくつかのシリーズがあるので、ぜひ続けてご覧ください。

 

パンデミックの最中でも営業を続けることで、

スタッフを危険に晒す可能性があることから批判も多いとのことです。

しかし、人々が困ったときにこそ営業を続けることも、

大変意志と勇気が必要なことだと思います。

 

”広告”という観点においては、

どのようなフローでこの広告が制作されたかは定かではありませんが、

いち早くエージェンシーであるWieden & Kennedy社とタッグを組んで、

ミニマルでありながら完成度の高いクリエーティブを、

クイックに世の中に発表できたことはとても素晴らしい試みだと思います。

 

またもアメリカ発の事例になりましたが、

社会と企業の結びつきを考えながら、今コミュニケーションの力で何ができるのか。

そんな視点を持つことがますます大切になってくるに違いありません。

 

”HOME”がコロナ勝利の秘訣!スペインのフットボール誌による自宅隔離を促す広告

  • Company: Libero (Football Magazine)
  • Agency: DAVID, Madrid
  • Country: Spain

 

スペインのフットボール誌「Libero」が、

コロナ問題に揺れる同国内で、ソーシャルディスタンスを啓蒙するための

ユニークな広告を発表しました。

 

それがこちらです。

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 マドリードの人気チーム、

アトレティコマドリードのユニフォームを想起させるデザインで、

何やら大きく数値が書かれています。

HOME:57% / AWAY:23%

2019-2020シーズンの同チームの

HOMEとAWAYの試合の勝率を表しているようです。

 

そして、その数字の下には次のようなコピーが書かれています。

 

"IT'S EASIER TO WIN AT HOME"

HOMEで勝つ方が、簡単だ。

 

これは単にサッカーのことだけを語っているのではなく、

コロナパンデミックに揺れる国内で、

自宅隔離を促すメッセージになっていたのです。

 

同コンセプトで、他にもたくさんのバージョンの広告が作られています。

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広告制作を担当したDAVID Madridの

Executive Creative DirectorのAndre Toledoさんは次のように語っています。

 

「Liberoが数年にわたって言ってきたことは、

”何でもサッカーを使って説明できる”ということ。

今回の広告は、”自宅隔離をしよう”という社会メッセージを

サッカーを使ってLiberoらしく表現したものになります。」

 

決してクリエーティブギミックだけを狙ったものではなく、

サッカー愛好家の多いスペインという国の特徴をとらまえ、

国民一体となってコロナウィルスに打ち勝つために、

サッカーへの愛をフックに行動喚起を促すことを意図したようです。

 

企業として、人として。

こんな非常事態時こそ、何ができるかを考え、

即座に実行する決断力と勇気を持つことが、

コミュニケーションに携わる者には求められていると思います。

 

ロゴの近過ぎにご注意!?ソーシャルディスタンスを啓蒙する企業ロゴが続々登場

 

世界的なパンデミック危機によって外出制限が行われるなど、

ソーシャルディスタンス(人と人の距離を保つ)が推奨されている昨今。

 

世界の企業が続々と、このメッセージを伝えるための

ユニークなリアルタイムマーケティングを展開しています。

 

●Coca-Cola / Mercado McCann, Argentina

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タイムズスクエアの広告に掲出された、コカコーラの広告がこちらです。

 

赤字のシンプルなベースの上に、おなじみのコカコーラロゴが

距離を保つ形でレイアウトされており、コピーがこう語りかけます。

 

Staying apart is the best way to stay united.

離れることが、繋がるための一番の方法です。

 

人と距離を保つことで、ウィルスをもらわない・うつさない。

それが大切な人との距離を縮めることに繋がる。

なんともコカコーラらしい、明快でウィットに富んだコピーが効いていますね。

 

●McDonald's / DPZ&T, Brazil

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マクドナルド・ブラジルのアカウントには、

おなじみのゴールデンアーチが真っ二つになった画像がupされています。

 

●Inter Miami CF 

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こちらは、マイアミになるフットボールチームのロゴです。

トレードマークのアオサギ二羽の距離がオリジナルと比べると

不自然にスペースが空いていて、同じくソーシャルディスタンスを訴求しています。

 

*ちなみにこちらがオリジナルロゴです。

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●Chiquita / Alice YoungNework Group, Portugal

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アメリカのフルーツなどを販売するチキータ社は、

同社のシンボルマークである女性キャラクターのチキータを

取り除いたロゴをinstagramにup。

その理由を「すでに家に帰った」と発表しました。

 

*こちらがオリジナルロゴです。

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上記でご紹介した、企業オフィシャルのロゴのみならず、

一般クリエイターが自主的に作ったものなど、

かなりの数のロゴや画像が出回り世界規模でムーブメント化しています。

 

残念ながら、日本の事例は今現在(2020.2.24)あまり見つかっておりません。

おそらくオリエンテーションの無い仕事であり、

お国柄もあってか、スピード感を持って実行に移すのが難しいのかもしれません。

 

世の状況を鑑みて、クイックに企業としてコミュニケーションを図る、

リアルタイムマーケティング。ぜひ日本からも、

世界に通用する事例が出てくることを期待したいと思います。

 

 

世界のために、自宅隔離を楽しめ。Nikeがアスリートと共に語りかけた魂のメッセージ

  • Company: Nike
  • Agency: Wieden + Kennedy, Portland
  • Country: USA

 

コロナパンデミックの煽りを受けて、

我々一般人のみならず、世界中のアスリートたちもまた

試合が軒並み中止、自宅隔離や外出制限を余儀なくされています。

 

各界の一流アスリートたちが自主的に室内トレーニングの動画をUPするなど、

いかに外出制限を楽しみ、有意義にできるか?を世界中が模索している中、

世界的スポーツブランドのNikeは、

Twitterに次のようなメッセージを発信しました。

 

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"If you ever dreamed of playing  for millions around the world, 

now is your chance"

Play inside, play for the world.

Nike

 

"もしも、あなたが世界中の何百万人の為に

プレイすることを夢見たことがあるなら、今がそのチャンスだ。"

自宅隔離をプレイしよう、世界のためにプレイしよう。

Nike

 

外出制限に不平不満を言ったり、

自分勝手にルールを破って外出をしたりするのではなく、

きちんと自宅隔離をやりきる。楽しむ。

”自宅隔離をプレイする”ことこそが、”世界を救うことに繋がる”。

Nikeは制限された隔離環境をむしろ楽しむことで、

世界を共に救おうと世界中の全ての人々にメッセージを投げかけたのです。

 

世界中で活躍しているNike所属アスリートたちも、

賛同を示すために、こぞって同メッセージをSNS上で発信しています。

 

 

バスケットボール界のレジェンドであるマイケル・ジョーダン氏や、

サッカー界のカリスマ、クリスティアーノ・ロナウド選手も参加しています。

 

Nikeはこういったメッセージを投げかけるだけではなく、

自社のアプリ上では自宅でできるトレーニングコンテンツを無料公開するなど、

積極的に隔離を楽しむ為のサポートを行なっています。

 

このスピード感に加え、いかにもNikeらしい強くポジティブなメッセージ。

また、世界中の自社契約アスリートをメディアにして、

瞬時に伝え切るその力は流石としか言えません。

 

今企業として「何を売りたいか?」ではなく、

「何を伝えるべきか?」を考えて実行することが、

まさにコミュニケーションに携わる人間が考えるべきことであり、

企業活動において重要なファクターであると言えるでしょう。

 

家が「支社」に!?BBDOの遊び心に溢れた、リモートワークを楽しむためのロゴジェネレーター

  • Company: BBDO
  • Agency: BBDO, New York
  • Country: USA

 

爆発的なコロナウィルス感染の煽りを受けて、

世界中でリモートワーキングを余儀なくされている広告業界

グローバルのエージェンシーネットワークを持つBBDOは、

社員の孤独を和らげ、士気を高めるべく、

インナー向けのマイクロサイトをローンチしました。 

 

BBDO Your Home http://bbdoyourhome.com/

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リモートワーキングで働く社員一人ひとりに、

BBDOの支社のようなロゴを生成するというこのサービス。

自宅の住所を入れるだけで、簡単にオリジナルロゴを作ることができます。

 

仮に筆者の地元である「OSAKA」と入力してみると・・・

 

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こんな感じで、すぐにロゴを生成することができました。

 

元々はニューヨーク本社の社員向けに開発されたサービスのようですが、

今や世界中の社員たちが喜んで利用しているようです。

 

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同グループのグローバルCEOやCCOも参加しているようですが、

とってもチャーミングですよね。

 

また、彼らはサイトを通じて、世界中の社員に向けて

次のようなメッセージを届けています。

 

「もちろん、これはジョーク。本当にオフィスを立ち上げる訳ではない。

だけど、あなたがどこにいようと、BBDOを強く大きくしていることは事実だ。

私たちはBBDOファミリーだ。全ての社員の皆さん、くれぐれも健康でいてください。」

 

世界的の様々な場所や国々で、

日に日にシリアスな雰囲気が高まっている中で、

イデア一つで社員の明るい笑顔を取り戻す

良い機会になったのではないでしょうか?

 

ナイキがギリシャの標高2,911mの山頂に、バスケットゴールを設置した理由

  • Company: Nike
  • Agency: Wieden+Kennedy Amsterdam
  • Country: Greece

 

NBA選手、ヤニス・アデトクンボをご存知でしょうか?

2019年6月に開催されたNBAアワーズにて、

ギリシャ人初のMVPを獲得したことでも有名です。

 

ヨーロッパ出身のナイキ契約選手で初めての受賞となった

この快挙を記念して、とある粋な試みがナイキによって実行されました。

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youtu.be

 

 なんと、ギリシャの名峰オリンパスの標高2,911mの場所に、

リアルなバスケットゴールを設置したのだそうです。

 

ゼウスなど神々が住む山として有名なオリンパスは、

全てのギリシャ人にとって誇りとも言うべき神聖な場所です。

一体、なぜそんな場所にバスケットゴールを設置したのでしょうか?

 

グラフィックに刻まれたコピーには、こう記されています。

ーーー

FATE CAN START YOU AT THE BOTTOM.

DREAM CAN TAKE YOU TO THE TOP.

運命は麓から始まる。

夢があなたを頂上へと連れて行く。

ーーー

 

たとえどんな場所からでも、夢を見ることはできる。

その夢に従って行動した者だけが、頂上にたどり着くのだ。

 

そんな力強い言葉がヤニス選手から聞こえてくるような、

まさに「Just Do It.」なナイキらしいキャンペーンだと思いませんか?

 

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ヘリコプターで山頂までゴールを運んでいる様子

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実際に設置されたバスケットゴールが神々しい

 

実際には、山の二番目の高さのポイントに設置されたようです。

最も高い場所は、撮影クルーすら入れない危険なポイントだったからとのこと。

 

非常に神聖な場所であることから、バスケットゴールは現在は撤去され、

Spoliaと言うアテネの隣町に設置されており、

ヤニス選手の故郷で夢見る子供達にメッセージを発信し続けているようです。

 

CMとしての力強さもさることながら、しっかりPRバリューを持たせつつ、

さらにはバスケットゴールを中心にして、イベントへと展開可能な

まさに統合コミュニケーションのお手本とも言える事例ではないでしょうか。