カナダの雑草駆除剤ブランドによる、チャンネル横断で伝播する”雑草のようなCM”が斬新
- Company: Weed B Gone (Scotts)
- Agency: Rethink, Tront
- Country: Canada
カナダの雑草駆除剤「Weed B Gone」がオンエアした、
まるで雑草のように生命力溢れるCMが話題です。
そのCMの主人公は、口やかましい雑草Pricky。
とにかくうるさく画面に映っただけでも目障りな、この雑草。
CMの中で、彼はこう捨て台詞を残します。
「あなたのテレビ中に、俺は拡散するぜ〜」
ん…?
それは一体どういう意味でしょう?
単なる大言壮語なのか。
CMの終わり際に、Prickは続いてこう述べました。
「フードチャンネルの"Channel56"にも俺たちがいるぜ。」
なんと、
チャンネルをまたいで、この目障りな雑草が拡散していくという
奇想天外なフレームなのでした。
この雑草の指示に従って、チャンネルを遷移していくと
どんどん画面いっぱいにPrickが広がっていきます。
最終的には、駆除剤を使って雑草たちが撲滅されるというオチ。
視聴者に、Prickの指示に従っていくつかのチャンネルを遷移させながら
雑草の厄介な繁殖力を表現した、この奇想天外なCM。
寸分違わぬメディアプランが無ければ成り立つことの無い、
非常に秀逸なクリエイティブ・メディアプランニングだと感じました。
ちなみにメディアエージェンシーは、MediaEdge Canadaだそうです。
(日本では、他局に塩を送るじゃないですが視聴率を逃がすことになるので、
実現が難しいアイデアではあるでしょうね…)
ドライブスルーがやってくる!? ブラジルのマクドナルドが、”動くドライブスルーカー”を開発
- Company: McDonald's
- Agency: DPZ&T
- Country: Brazil
マクドナルドのドライブスルーとえば、
車から出ずに注文し受け取ることができるとても便利なサービスですが、
このたびブラジルのマクドナルドが、更に便利なサービスを始めたようです。
その名も…
「Drive-Thruck McDonald's」です。
(ドライブするマクドナルドトラック)
一見、普通のドライブスルーに見えるかもしれませんが…
思いっきり、道路の真ん中を走っております!
めちゃくちゃシェアラブルですよね。
思わず写真に撮りたくなる、異様な光景です。
見せかけではなく、実際に注文もできるみたいです。
「いつもドライブスルーが、あなたの道の上にあることを思い出してほしい」
という理由から、この動くドライブスルーカーは開発されたようです。
5.25のドライブの日に、実施された模様です。
やっていることはすごくシンプルだけど、
夢があって愛らしさのある企画だなぁと関心してしまいました。
マクドナルドほどのメジャーブランドにとって大切な指標となる、
ブランドラブ(ブランド愛)を構築する上で、
とても有効な手だてであると思います。
コカ・コーラに新パッケージが登場!フェスの入場チケット代わりになる、フェスティバルボトル
- Company: Coca-Cola
- Agency: McCann, Bucharest
- Country: Romania
ネームボトル、リボンボトル、アイスボトル…
毎度世界で話題になるコカ・コーラのパッケージ。
この度、ルーマニアから
新しいユニークなボトルが仲間入りしたようです。
その名も…
Festival Botlle
びりびりっと取り外して…
腕に巻けば、あっという間にリストバンドに様変わり。
なんとフェスのチケットになっちゃいます。
このボトルが発売された背景には、
コカ・コーラがルーマニアの10代にとって
縁遠いものになってしまったという課題があります。
1ヶ月のうちにコカ・コーラを飲まない人が、約40%いるそうです。
一方、音楽フェスには10代のほぼ100%が、
「年に1度は参加する」ということが分かりました。
そこで、フェスを接点にコカ・コーラとターゲットとの距離を縮められないか?
と考えられた後に開発されたのが、この”フェスティバルボトル”という訳ですね。
ちなみに、もちろん全員がフェスに参加できる訳ではありません。
アプリで読み込み、当たったボトルだけがチケットの代わりになるようです。
結果、ルーマニアの10代の約75%にリーチできたとのことです。
売り上げも11%UP。(何対比か分かり兼ねますが…)
このボトルも、日本で販売される日が来るのでしょうか。
パッケージそのものがプロモーションツールになっており、
そしてシェアラブルなものになっていると感じました。
次なるパッケージも期待して待ちたいと思います。
朝が弱い人必見!早起きの漁師たちによる、斜め上過ぎるモーニングコールサービスが登場
- Company: Fisherman Japan
- Agency: Dentsu, Tokyo
- Country: Japan
「漁業の担い手不足」という社会課題に対して
様々な活動を行っているFisherman Japanが、
斜め上過ぎるサービスを始めたことが話題になっています。
その名も…
FISHERMAN CALL
文字通り、前代未聞の漁師によるモーニングコールサービスです。
漁師と言えば、”朝に強い”の代表格ですよね。
とある漁師のスケジュールを覗いて見ると…
なんと2時には起床しているようです。
6時には海での仕事を終えて帰港するということからも、
漁師がとんでもなく朝に強いことが分かります。
複数人の漁師からタイプを選べばOK。
あとは抽選式になっているみたいです。
当選した人には、こんな感じで電話がかかってくるみたいです。
この一枚絵を見ただけでとってもシュールですね。笑
もちろんこの企画のゴールは、ただの賑やかしではありません。
漁師との接点をもうけることで、漁業の魅力に気づいてほしい
という切なる願いが込められているようです。
少しだけ残念なのは、これが期間限定サービスだということ。
これが少なからずビジネスになって、
漁師が少しでもコールサービスという副業で稼げるようになれば、
継続的にやれるようになったりするものなのかなと。
(現実は、なかなか難しいのだとは理解しつつ…)
しかし、「漁師×モーニングコール」という意外すぎる
組み合わせの持つ破壊力は凄まじいものがありますね。
世の反応を見ても、このアイデアが
素晴らしい着眼点を持ったものであることは間違いありません。
Fisherman Japanの次なる一手も、期待して待ちたいと思います。
[公式サイト]
難民選手団の為に作られた”結束の旗”が、ONE SHOW2017で最高賞を受賞
- Company: Refugee Nation
- Agency: Ogilvy, New York
- Country: USA
2016年のリオデジャネイロオリンピックで話題になった、
「難民選手団」のことを皆さんは覚えていらっしゃるでしょうか。
10人の多国籍なメンバーがいるこの選手団は、
文字通り”難民”で構成されています。
様々な事情があって母国に住むことができず、
第三国に住むことを余儀なくされながらも、
その卓越した能力でオリンピックの出場を勝ち取ったメンバーたち。
Tonight, the first-ever #TeamRefugees will also stand before the world and prove that you can succeed no matter where you're from.
— President Obama (@POTUS44) August 5, 2016
当時大統領だったオバマ氏が、
「今夜、初の難民選手団が現れる。彼らが、
どこから参加しようとも成功できるのだということを、世界に証明するだろう。」
と力強くTweetしたことでも話題になりました。
そんな彼らを支援する為に、Ogilvy New Yorkは
非営利団体「THE REFUGEE NATION」と結託して、
”結束の旗”をつくることにしました。
それがこちらです。
アムステルダム在住の難民ヨラ・サイード氏がデザインしたこの旗は、
難民を象徴するライフジャケットをリサイクルして作られました。
真ん中の一本線は”結束”を意味し、
難民たちがこの旗のもとでひとつになれることを意図しています。
「この旗は、難民選手団の認知を飛躍的に上げ、ポジティブな会話を
生み出すだろう。また、難民に対する差別と戦うためのものだ。」
と、Ogilvy New Yorkは語ります。
また、2017年度の最高賞を与えたONE SHOWのCEOは、次のように述べました。
「政治の不一致や激動の社会において、私たちはどうしたらよいか。
この事例は我々の業界にとって、貴重なエグザンプルとなるだろう。」
孤独な難民選手団、そして難民をつなぐ”結束の旗”は世界中に広がり、
様々な国際イベントなどで活用されています。
あの有名なMOMA(ニューヨーク近代美術館)にも展示されているようです。
この仕事、もはや”広告”ではないですよね。
作ったのは旗のデザインだけですが、
世界に与えた影響の大きさは計り知れないものがあります。
最上級のコミュニケーションデザインと言えるのではないでしょうか。
世界を、そして人間を一歩前進させた素晴らしい仕事ですね。
感服せずにはいられません。納得の最高賞受賞作品のご紹介でした。
10代の少年がリツイート数世界一を更新!Wendy'sのチキンナゲット1年間無料を賭けたツイートが話題
- Company: Wendy's
- Agency: Nothing
- Country: USA
突然ですが、
世界一有名なTweetと言えばこちらではないでしょうか。
If only Bradley's arm was longer. Best photo ever. #oscars pic.twitter.com/C9U5NOtGap
— Ellen DeGeneres (@TheEllenShow) March 3, 2014
2014年のアカデミー賞で、Ellen DeGeneresさんによって撮影された、
世界一豪華なセルフィー。みなさんも見覚えがあるかと思います。
リツイート数は なんと340万回以上。
ギネスレコードにも登録される名実ともに”世界一のTweet”でした。
このたび、その記録が約3年振りに更新されたというのです。
ハリウッドセレブ大集合の豪華すぎるTweetを上回る
つぶやきって一体全体どんなものなのか。
その発信者は大統領か、はたまた希代のポップスターか。
そのTweetの主は…
なんと、アメリカのどこにでもいる10代の少年でした。
こちらがそのTweetです。
HELP ME PLEASE. A MAN NEEDS HIS NUGGS pic.twitter.com/4SrfHmEMo3
— Carter Wilkerson (@carterjwm) April 6, 2017
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チキンナゲットが欲しい人、手伝ってください。
by Carter Wilkerson
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なんとリツイート数は本日時点で、既に350万回を超えています。
これ、Twitterが始まって以来のとんでも無い数です。
しかし、この一見何の変哲もないTweetが
なぜそんなにもリツイートされているのでしょうか?
タイムラインを遡ってみると、どうやらCarter君がWendy'sに対して、
次のようにTweetしたことに端を発することがわかりました。
やぁWendy'sさん。どれぐらいリツイートを集めたら、
チキンナゲットを1年間無料にしてくれるんだい?
単なる挑発にも見えるこのツイート。
それにWendy'sは次のように返信しました。
1,800万リツイート。
軽くはぐらかすのかと思いきや、とんでもない数を少年に要求したのでした。
今までの世界のリツイート記録が約340万回ですから、
いかにこの数字が無謀なものなのかはご理解頂けるかと思います。
そのまま終わると思いきや、このツイートはあっという間に全米中に拡散され、
企業や有名人たちも相乗りし始める展開に。
#NuggsForCarter(ナゲットをカーター君に贈ろう)
というハッシュタグも生まれ、まるでお祭り状態になっています。
下記は、そのほんの一部。
We're in. How about you, @Amazon and @Google? #NuggsForCarter https://t.co/zi8FmD6Cf8
— Microsoft (@Microsoft) April 7, 2017
Live your best life, Carter. Follow your dreams. #NuggsForCarter https://t.co/PbHd9JMQjE
— Amazon (@amazon) April 8, 2017
@Microsoft Feeling lucky, @carterjwm? #NuggsForCarter https://t.co/pYqVV6rBh3
— Google (@Google) April 8, 2017
@carterjwm Hey @carterjwm #NuggsForCarter @Wendys best served w an Ice Cold Coke! DM @CokeFlorida we want to send this YOUR way! #ShareaCoke #nuggetboy pic.twitter.com/rIpBh46Q6v
— Coca-Cola Florida (@CokeFlorida) April 28, 2017
@carterjwm Hey Carter if you fall short on the 18m but break the record for most retweets, we'll fly you out to #Sanya for nuggets! #NuggsForCarter 😎 pic.twitter.com/WEXHhRec0K
— Sanya Tourism (@VisitSanya) April 12, 2017
It's good to have dreams https://t.co/gY4WfBX45i
— Aaron Paul (@aaronpaul_8) April 8, 2017
So @wendys will give local teen @carterjwm a years worth of nuggets if he gets 18 Million retweets! Help him get those nuggs! pic.twitter.com/SYk9CSooTD
— Reno 1868 FC (@reno1868fc) April 7, 2017
1 Million?!?! Officially SHOOK https://t.co/XZ1AafXo2p
— Wendy's (@Wendys) April 7, 2017
「100万回達成?ショックです…」
あまりの盛り上がりに驚きを隠せないWendy's。
そしてついに…
Carter君のツイートはリツイート数の世界記録を更新。
Because kale couldn’t have set the record for Retweets.
— Twitter (@Twitter) May 9, 2017
Congrats, @carterjwm. #nuggsforcarterhttps://t.co/KeC0cLLsYy pic.twitter.com/PQ9QMoifZz
Twitter公式も、この快挙を祝福。
Congratulations to @carterjwm who just broke @TheEllenShow's record for most retweeted tweet on @Twitter #NuggsForCarter pic.twitter.com/gwKyq8zmfP
— GuinnessWorldRecords (@GWR) May 9, 2017
とうとう、あのギネスにもその記録が認められました。
Cash me ousside nugget boy, howbow dah? pic.twitter.com/4vDRnAoNYu
— Ellen DeGeneres (@TheEllenShow) April 18, 2017
そして、前回の世界記録保持者である
Ellen DeGeneresさんともセルフィーをぱしゃり。
.@carterjwm is now the most retweeted tweet of all-time. That’s good for the nuggets, and $100k to @DTFA. Consider it done. #nuggsforcarter pic.twitter.com/k6uhsJiP4E
— Wendy's (@Wendys) May 9, 2017
Wendy'sは、自社のナゲットで世界記録を打ち立ててくれた
Carter君に感謝の意を示すべく、彼の大好きな大量のナゲットと
DTFAという孤児を守るNPO団体に10万ドルを寄付することとなり、
この盛り上がりは一区切りとなったのでした。
何気ない一般ユーザーとの会話から始まった、今回のお祭り騒ぎ。
企業が発信したのは、たったひとつの”つぶやき”だけです。
しかし、SNS上のユーモラスな対応ひとつで、社会的ムーブメントを巻き起こし、
世の中と強くエンゲージメントすることができることを証明しました。
リスクヘッジばかりして、杓子定規になってしまいがちなSNS運用。
アメリカの企業はさすがというか、
このあたりの身のこなし方には国民性が顕著に現れる気がしています。
そもそも広告とSNSは、まず根本的にお作法が異なるはずです。
ついつい広告的な文脈の中にごちゃ混ぜして語ってしまいがちなSNS施策ですが、
この事例を糧に、日本でも素晴らしいショーケースを作りましょう。
「どんなカタチも美しい。」Doveの”美の多様性”を肯定するボディウォッシュボトル
- Company: Unilever
- Agency: Ogilvy, London
- Country: United Kingdom
ユニリーバのDoveと言えば、
数々の優れた広告を発信してきた先駆者として有名ですが、
このたびロンドンから、新たに同ブランドを代表するであろう
素晴らしいアイデアが発表されました。
その名も…
The Real Beauty Bottle
です。
何がどう、リアルビューティなボトルなのかというと…
単なるボトルと思いきや…
すべて、姿・カタチが違うボディウォッシュボトルになってます。
長年ブランドは、
「すべての女性にそれぞれの美しさがあり、
その違いこそ、褒め称えられるべきである」と言い続けてきました。
そんな美の多様性を訴えてきたDoveにとって、
このボトルは必然とも言えるアイデアなのでした。
「このボトルは、ブランドの長い歴史を僅か2秒で伝えられる、
希有なアイデアであり、製品である」と、
OgilvyのECDであるAndre Laurentinoさんは語ります。
とてもシンプルなアイデアですが、
Doveにしかできない、非常に強いものになっていると思いました。
広告と製品が見事に融合した好事例と言えるのではないでしょうか。